さまざまな業種には、その業種なりの「絶対にやってはいけないこと」というものがある筈だ。例えば「生命」に直結する医薬製造会社において、品質試験において“不適応”となった破棄すべき錠剤を“再利用する”などということが、許されるはずがない。ところが、2009年ごろから「日医工」というジェネリック医薬品製造大手では、それがまかり通っていた。本来は破棄すべき錠剤を砕いて、新たな錠剤を作り直す…どう考えても、医薬品を扱う人間の発想ではない。しかも、それは経営的に苦しいから行っていたのではない。むしろ逆なのだ。忙しすぎて、多くの品目を製造しなければならなくて、少しでも時間を短縮させたいがため行ったことなのだ。機械部品とかの“製造工場”なら、そのような発想も分からないではない。だが、医薬品の製造工場なのだ。品質試験で“不適合”だったものを、どうして再利用できるのか。この「日医工」という企業は東証一部上場の大企業である。町工場ではない。2020年3月期の売上高は1900億円である。儲かっているのだ。ちなみにジェネリック医薬品というのは“後発医薬品”という意味で、正規の医薬品の“模造品”のようなものである。但し、後発品でも模造品でも“正規のモノ”より優れている場合がある。ジェネリック医薬品に関しては、優れていないまでも、劣っているわけではない。ただ安価にするため各種の工夫をしていて、それが“効き目”に影響を与える場合はある。だから、医師が処方する場合、最初からジェネリック医薬品を奨めることはない。奨めて来るのは調剤薬局だ。国もそれを推奨している。どうしてかというと、国の医療費負担が軽くなるからだ。こうしてジェネリック医薬品の製造企業は、黙っていても儲けられるシステムになっている。けれども、どんなに忙しかったとしても、やってはいけないこと、というものがある。医薬品は機械部品の生産とは違って、とりあえずで“見切り発車”は出来ないのだ。
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