われわれは普段「先祖」というものの存在について、あまり深く考察することはない。けれども、よくよく考えると、われわれが今あるのは“先祖たちのお陰”であることは間違いがない。その先祖たちが、今も働いてくれて、莫大な収入をもたらしてくれているのが「エジプト」という国である。観光の国はどこもそうだが、普段は恩恵をそれほど感じなくても、人の移動が制限されて“観光収入”が見込めなくなると、途端に痛いほどそれを感じる。「現代エジプト」を観光したい人はほとんどいない。世界中の人達がやってくるのは「古代エジプト」の“王”や“王妃”や“王朝の遺跡”を視たいからである。つまり、莫大な観光収入は“偉大なる先祖”たちが、未だに稼いでくれるからなのだ。それが、このところストップしている。世界中の観光地がそうなのだから致し方ない。そこで、早く“本来の姿”に戻ってほしいとの願いを込めた“一大イベント”が企画された。古代王朝のミイラ22体を、老朽化した「エジプト考古学博物館」から新しく完成した「エジプト文明博物館」へと“華々しく移転させるパレード”だ。カイロ市内にある現在の博物館から、ちょっと郊外の博物館へ5㌔の移動となる。これを1000名以上に及ぶ古代衣裳に仮装したエキストラまで使って、この日のため特注した「黄金の車」22台を使って、最新の音響・映像効果まで使って“華麗なるお引越し”を、4月3日の夜に行ったのだ。もちろん、それは偉大なる古代の王たち=先祖たちのために行ったのだが、もちろん国家行事として莫大な費用を投じて行ったのは「世界へのアピール」が一番なのだ。“エジプト好き”の人達に、“ファラオ好き”の人達に、戻って来てほしいがためのイベントなのだ。けれども、そういう意図はあったとしても“素晴らしい移転行事”となったことは間違いがない。私はYouTube動画として配信されたものをTV画面で観たが、文字通り“ファラオ達の移転”に相応しい荘厳さであった。おそらく日本のオリンピックは、このような華麗さを演出できないだろう。もし、日本が「ファラオ」に対抗して「卑弥呼」を登場させることが出来れば、少しは対抗できるのだが…。
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