世の中には“奇怪な事件”というものがある。最初から“容疑者らしき人物”というものが浮かび上がっていて、検察としては、その威信にかけても逮捕しなければ気が済まない事件だ。「紀州のドンファン殺人事件」は、検察内部に最初から元妻を“犯人”と決めつけている幹部がいて、その筋書きに従って捜査が行われてきたような“逮捕劇”だった。そして、拘留ぎりぎりまで粘って“自白”を求めたが、それが得られないので、状況証拠だけで「起訴に踏み切る」という情報が流れている。最初から「犯人」と決めつけているのだから、そうするのは自然のことなのだろう。確かに、下手な推理小説なら、結婚して3カ月後に資産家が急死したなら、極端に齢の離れた新妻が“殺した”とするのは自然な筋書きと言えるだろう。けれども、ふたりの生年月日のデータを持っている私は、彼女の背後に“ワルイ男”がいて、示唆していたというなら別だが、それ以外で彼女が“殺す”という筋書きはあり得ないと観ている。多くの人は、彼女の行動を「未亡人としておかしい」と指摘しているが、それは違う。彼女は、資産家男性から懇願されて「妻」となったのだ。恋愛的に“愛して”結婚したのではない。だが同時に“金目当て”だけで結婚したのではない。もちろん、彼女自身が後に語ったように「それも魅力」だったことは間違いがないが、それだけで結婚したのではない。元々彼女には「自由な愛人生活」を“一つのライフスタイル”のように感じていた部分があり、野崎氏との結婚も“その一環”だったに過ぎない。彼女は野崎氏に対して“男女間的な愛情”を抱いていたのではないが、“祖父的な愛情”を抱いてはいた。彼女の金星は彼の太陽や金星と、その出生時において“同一位置”に来ているからだ。謂わば“同情的な愛情”を彼に対して持っていたのだ。彼女は、自分自身が“我が侭で自分本位”なことを知っている。だから、本来、普通の結婚向きではないし、“普通の結婚”をしようという気持ちもなかった。だから、彼女にとって「自由な愛人生活」を送ることが出来る“彼との結婚”はギブ&テイク的な意味合いがあった。一番良いのは、彼には“お手伝いさん”がいて、自分は主婦としての仕事をしなくても良いことだった。もう一つ良いことは、野崎氏の“性機能”が不完全で、そういう意味での“相手”をしなくても良いことだった。自分は、和歌山県の田舎町で一般的な結婚生活を送る気持ちは最初からなく、そのことは野崎氏にも伝えてあった。だから、普通の人達が想うような“夫と妻”の関係では最初からなく、それは双方とも了解の上だった。ただ入籍したことで、野崎氏の独占欲が強まったのは感じていた。一緒に居ることは嫌ではなかったが、一緒に居続けることは苦痛だったに違いない。けれども、殺すことなどは考えもしなかった。もし、離婚されたなら、別な相手を探せばよい。そういう風に生きて来たし、これからも、そういう風に生きていくつもりだった。彼女は、元々「お金」に執着の強い人間ではなかった。金銭管理は苦手で、地味な“暮らし方”が出来ない。ただ、それだけだった。世間的に観ると、ちゃんとしていないのかもしれないが、人を“殺してまで”お金を得ようとするような人間ではない。ドバイに行こうとしたのも、いつまでも警察が疑って付け回し、何もしていないのに、ずっと“疑いの眼”で視られて生きなければならない。頭から犯人扱いをされ“管理される”のは嫌なのだ。もし彼女が“殺す”ことを考えたのなら、もっとうまく殺す方法はいくらでもあっただろう。自宅で殺したなら、嫌でも疑われる。そんなことは小学生でもわかる。もし、殺したなら、葬式の時に“疑われないよう”演技するのが犯人と決まっている。ところが彼女は“他人事”のように振る舞った。文字通り、殺人は“他人事”だったからだ。
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