何んとも“哀しい事件”だ。宗教的な書物には“奇跡の物語”が多い。強い信仰心が“奇跡を呼ぶ”と語り継がれている。例えばキリスト教では、亡くなったはずのイエスが、その三日後には墓から蘇っていた……と記されている。その根源にあるのは“強い信仰心”である。前にも何かで書いたことがあるが、荒涼とした荒野では“強い信仰心”が育まれやすい。「神」を信じなければ、生きていかれないような“不毛の大地”だからだ。アフリカの南部ザンビアでシオン教会に属する22歳の若き牧師ジェームズ・サカラ氏は『聖書』に記された“奇跡の物語”をそのまま信じ込む強固な信仰心の持ち主だった。彼には単に“牧師”としてだけでなく“ヒーラー”や“呪術師”としての「顔」も持ち合わせていた。したがって、彼には数として多くはないが、熱心な信徒たちがついてきていた。彼は日頃の“説教”だけでは、より多くの信仰者たちを引寄せられないことを自覚していた。そこでパフォーマンスに出る。「キリストの奇跡を自分も体験してみよう」日頃から呪術で“それなりの奇跡”は実証済みだった。彼には自信があった。精霊が宿っている“我が身”をもってすれば、埋葬されても三日後には蘇ることが出来る。だが手伝ってくれる人が居ないので、自分で事を進めた。インチキだと思われないよう地下深くまで“墓穴”を掘ったのだ。これを成功させることで「神は奇跡を起こす」「信仰の力は偉大である」「信仰が足りないからコロナなど怖れるのだ」ということを対象に解からせよう。その日、集まった信者たちに「あなた方はみな信仰が足りなすぎる」「この目の前に居るサカラを埋葬するがよい」「わたしは死んだ人々の間から蘇り、息を吹き返すだろう」こう宣言して彼は、自らが用意した「墓穴」に入った。そして信者たちに、その上に土をかけ、完全埋葬するように頼んだ。最初、躊躇していた信者たちも、強く指示されるので、祈りを唱えながら“その言葉”に従った。それぞれが顔を見合わせ、指示されていた通りの方法で「儀式」を終えた。誰もが半信半疑だった。だが、どこかで“奇跡”を信じていた。けれども、奇跡など起こらなかった。三日後になって掘り起こされた彼は、血反吐を穿いたような形でなくなっていた。警察は事件に関わった“信者たち”を追っている。
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