イスラエル北部に『旧約聖書』に出て来る“カナンの地”が存在する。その地域で都市国家として栄えていた「メギド王朝」(3600年前)の墓が発見された。手つかずのままになっていたもので親子とみられる三名の遺体や豪華な副葬品も併せて発見された。既に“世界遺産”に認定されている神殿や王宮跡など、この地の発掘・調査は前々から行われていたもので、今回の発見はその王宮隣に亀裂が出来たことで偶然発見されたものだ。何より、この地が有名なのは「ハルマゲドン」という言葉が独り歩きしているからで、元々「ハルマゲドン」とは“メギドの丘”を意味する。決して“最終戦争”とか、“悪魔の降臨”とか、そういうおどろおどろしい意味合いではない。『旧約聖書』に“カナンの地”がしばしば登場するのは、ここが古代から現代まで“東西交通の要所”だったからだ。都市国家として繁栄を極めた「ハルマゲドン」だったが、新王国時代の古代エジプト・トトメス3世によって征服され、エジプトに併合される。その直前頃の“王家の墓”らしい。公開された副葬品などを見ると確かに豪華だが、エジプトの新王国時代に比べて洗練されてはいない。改めて、われわれは古代エジプトという文明がいかに“洗練されていたか”を思い知らされる。先に「ハルマゲドン」を“メギドの丘”と言ったが、より正確には「邪悪な宗教や思想を持つ人たちが集められる断罪の丘」的な意味合いをこめた“メギドの丘”なのだ。つまり、聖書世界においては古代エジプト王朝のような“多神教”や“獣神教”の世界は、そのまま“邪悪な宗教思想”に当てはまるので、トトメス3世の征服・併合を比ゆ的に表していた可能性もある。とにかく3600年の眠りから覚めて「ハルマゲドン」の王家たちは何を語ろうとするのだろう。
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