昨日、北朝鮮で拘束されていたカナダ人の牧師が解放された。なぜ解放されたのか、答えは簡単である。カナダが水面下で北朝鮮との交渉に応じて何かの交換条件を呑んだか、いくばくかの金銭を支払ったか、いずれかであろう。けれども、この話は「沈黙のメッセージ」を含んでいる。ただ単に“二国間だけでの話”ではないのだ。特に、解放されたのが、実は韓国系移民の牧師で、純粋なカナダ人ではないところに問題の本質がある。つまり、北朝鮮は“キリスト教国”であるアメリカと、隣国・韓国と、さらに“拉致被害者の多い日本”と、三つの国に対して、われわれは「話し合う用意がある」とメッセージを送っているのだ。特に「アメリカ」に向けて、正確にはトランプ大統領に向けて「そろそろ話し合いのテーブルについても良いのでは…」という無言のメッセージである。なぜなら、既にアメリカ人学生が“死ぬ直前の身体”にして開放している。実際には“遺体となるよう”アメリカに送り返している。今回は、元気なままの解放である。われわれの条件を呑むなら、このように元気なまま返してあげる。条件を呑まないのであれば、アメリカ人学生のようになる。それでも良いのか、条件に応じた方が得策ではないのか、というメッセージなのだ。しかも、グアム向けの“ミサイル発射”準備をしながらのメッセージである。北朝鮮を侮っている人が多いが、金正恩氏も“生きていくため”必死なのだ。国際間の制裁措置によって国民の生活が揺らげば、やがては国の内側から“自分の身”が危うくなる。もちろん、もし実際に戦争になれば、その時にも“自分の身”は危うくなる。この二つの問題を解決するには、トランプ大統領と“対話”するのが一番であることを彼は知っている。ただ、彼は韓国や日本とも本当は対話したい。早い話が、北朝鮮側からの条件を呑ませたい。特に韓国に対しては、そういう気持ちが強い。本当は「敵」から「味方」に変えてしまいたいのだ。もし、韓国を「味方」に変えることが出来れば、アメリカや日本の軍備も怖くなくなる。連帯が崩れ軍事情報も手に入るから、容易には攻撃されない体制が整う。経済的にも大いに潤う。中国との関係がギクシャクし始めている北朝鮮は、韓国経済網を取り込みたいのだ。本当は「融和政策」を取りたがっている現政権である今のうちに何とかしたいのだ。南北を統一して、新たな金正恩体制を敷きたい。一言も発していないが、それを語りかけている“解放劇”なのだ。
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