かつて「平成の怪物」と呼ばれていた男がいた。今となっては誰も振り返らないプロ野球選手・松坂大輔氏である。昔、あれほどの“人気”を誇っていたのがウソのようですらある。その松坂大輔選手が中日ドラゴンズのユニフォームを着ることになった。公式には中日の“入団テスト”を受けてから決まることになっているが、実質的には“内定”している。“現役”にしがみつきたい松坂の想いと、かつての“人気”に縋りつきたい中日の想いが見事に一致しての入団だ。3年間のソフトバンク時代には“1勝”も出来なかった。1軍登板したのも1イニングだけという悲惨さである。そんな松坂だが年齢的にはまだ37歳で“現役”としてやれない年齢ではない。肩の故障さえなければ…と本人は思っているかもしれないが、そうではない。一番の問題は精神面なのだ。十代半ばから「平成の怪物」として、マスコミがこぞって褒め称えた。どこへ行っても“大人気”だった。その記憶が抜けていないのだ。だから“ゼロからの再出発”という気持ちにどうしてもなれない。本来ならソフトバンクからの“コーチ契約オファー”を蹴ることなど出来ない。何しろ3年間、まったく働かなかったのに12億もの“契約金”を手にしたのだ。恩義がある。それなのに蹴ったのだ。そういう“傲慢”なところが一番の問題点なのだ。もし、彼が新天地で本当に“ゼロからの再出発”という意識に切り替えることが出来れば、元々の素質が蘇って“平成最後の年”となる2018年に“平成の怪物”としての“最後の力”を呼び戻すことが出来るだろう。37歳という年齢は、まだまだその“力量”が枯れ切ってはいない年齢だからである。けれども、かつての“記憶”に縋りついている内は“蘇る”ことなど出来ない。スポーツ選手にしろ、芸能人にしろ、十代半ばから“人気の頂点”に立ち、黙っていても“大金が舞い込んでくる”生活を経験した者は、どうしても“その感覚”が抜けていかない。人間としての“精神的な成長”が止まってしまう人達が多い。それを見越して“神”は試練を与える。人生は長いのだ。その試練の中で、人間的に“大きく飛躍した人”は、長い試練の後で、再び栄光を取り戻すことが出来る。
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