マレーシアのマハティール首相は30日「アジアの未来」という講演の中で、金価格に連動する東アジアの共通通貨を作るべきだという自論を語った。この「アジアのユーロ」ともいうべき通貨は、各国間での貿易取引でのみ使用し、国内取引には使用しない。互いに依存度が高い東アジアにおける共通通貨は、世界経済の混乱期などでも有利に働くと主張している。実は、このような主張は今に始まったことではなく、1970年代から存在していたのだが、そのたび何となく消えてしまっている。どうしてかというと、ヨーロッパのように思想や歴史や価値観などで“似たような国”が集まっていないからだ。日本の「円」は“安全資産”とも言われて経済の変動期に強い。だから、あまりドルに対して以外“その変化”を身近に感じない。けれども東南アジアの通貨は、世界経済の混乱期には大きく変動する。対外的に“安定性のある通貨”は意外に少ないのだ。輸出企業の多い日本では「円」が売られて安くなっていた方が海外での売り上げが良くなる。海外からの観光客もたくさんやってきて、日本の中で消費してくれる。「日本株」も買われやすくなり、株価が上がって“好循環”がやって来る。ところが、変動期に強い「円」は、世界経済の“見通し”が危うくなると、とたんに買われ出す。したがって「円高」となって輸出企業にとってマイナスに作用する。インバウンドの消費は止まり、日経平均は下落する。つまり、日本は世界経済が順調なら黙っていても経済は活性化し、世界経済が怪しくなってくると一番先にその“悪影響”が出る国なのだ。そういう意味では、今後の経済的な“長い見通し”で考えると「東アジアの共通通貨」構想は、日本にとってはプラスの面が大きいよう感じられる。政治的につながるのは問題がありそうだが、貿易的につながるのは良いことのような気がする。どちらかと言えば東南アジアとの“経済格差”が大きかった時代はプラス面が乏しかったような気もするが、もはや東アジア全体が“似たような経済力”へと徐々に変わりつつある現在、本気で「共通通貨」を検討すべき時期に来ているような気が、私にはする。
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