現代人で広義の「SNS(ツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ラインなど)」に関わりなく生きている人は稀であろう。或る意味では、それらを無くしてしまうと“生活”自体が成り立たなくなるという人さえいる。21世紀の世の中において、それはもはや“生活用品の一部”となっているが、その弊害も決して少なくはない。その一つは、世界から本当の意味での「自由を奪った」という点にある。SNSの普及によって、今起こっている出来事やニュースが瞬時に「世界」に伝わるという“利点”もあるのだが、同時に“一つの基準”が「世界」にとって“絶対”であるかのような錯覚も生み出しつつある。つまり、個々の“天然な個性”や“自由な生き方や考え方”というものを制限しがちな傾向があるのだ。例えば過去に「ハラスメント」と呼ばれる“行為”を行っていたと発覚した場合、その人の“全人格”が否定される。その人の“社会的功績”の全てが奪われる。まるで“世界から抹殺すべき人物”のような扱いに変わる。そのような在り方が、今や「世界基準」となりつつある。これって、大丈夫なのか。この新しい「世界基準」の出現によって、実に多くの人達が、その社会的地位や名誉や生活の糧を失った。もちろん、パワハラやセクハラやモラハラなどをしていたのだから、当然といえば当然なのかもしれない。けれども、何十年も昔の話は「時効」となっている。既に“現役”を退いている人たちは、過去にどんなにひどいパワハラやセクハラをしていたとしても、罪になることはなく、その社会的履歴や人格も守護されたままだ。そういう人達が山のように居る。「時代が時代だったのだから…」でセーフとなる。例えば力道山氏は、毎日のように“付け人”アントニオ猪木氏の頭をビール瓶で殴ったが「パワハラ」は適用されない。アントニオ猪木氏も、十数年前にはいつも一般人に対して「活を入れる」という訳の解からない理由で“びんたを食らわせていた”が「パワハラ」でも「モラハラ」でも処分はされない。それなのに、たまたま“現役”で記憶に新しい“数年前までの企業上司”は事態によっては、部下を激しく怒鳴っていただけで「パワハラ上司」の烙印を押されてしまう。或いは女性部下を誘ったというだけで「セクハラ」の汚名を着せられる。そして役職を奪われてしまうだけでなく“過去の業績”とか“仕事上の栄誉”も奪われる。その企業に「存在しなかった」かのような扱いを受ける。このほどロシアの企業で、一つの広報宣伝が注目を浴びた。それはアルミニウムの製造会社なのだが「女性らしさのマラソン」という“新制度”を発表した。つまり「女性従業員できちんと化粧し、スカートをはき、髪をアップにして出社すれば、一日に付き100ルーブル(170円)の特別手当を出す」というのだ。ところが、この“制度”について、SNS上では嘲笑するようなコメントが並んでいる。「暗黒時代の産物を持ち出す」とか「まず経営陣が化粧をすれば…」とか「明らかな女性蔑視…」など、どうも評判が良くない。別に、これは女性従業員に対して“強制”しているわけではない。それでも、現代の「世界基準」からすれば「セクハラに近い制度」ということになるのだろう。世界を“一律”に変えていくことが正しいことなのだろうか。「ユニークな企業」として、認めてあげる優しさは、もう望むべくもないのだろうか。
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