今から30年以上前、私はビルの中にあった“占いハウス”に出勤する形の占い師だった。或る日、30代半ばくらいのちょっとハーフっぽい男性がやって来た。彼は口数の少ない日本人だったが、ドイツで寿司職人をしているといった。日本に戻って暮らそうか、今のままドイツで働くか、迷っているとのことだった。私は正直、自分がどう占ったのか覚えていない。ただドイツでも“寿司屋”が存在していたことに、ひどく感銘した記憶が残っている。ところが30年以上たった今、ヨーロッパに“寿司屋”があることは、別に不思議でも何でもないことになった。日本食は、今や世界中に存在する。だから、インドに「カレーハウスCoCo壱番屋」が出来たとしても、驚くには値しないことなのかもしれない。そうは言っても、やっぱり「インド=カレー」というのは独特で、毎日3食飽きずにカレーだけを食べ続ける姿を見ると、日本人なら誰もがうろたえる。その本場に向けて、CoCo壱番屋が着々と準備を始めている。その前に、日本人に「カレー」を伝えたイギリスに、まずはロンドンに出店するそうだ。そして3年以内に本場・インドへと挑む。現在、ギネス認定「世界最大のカレーチェーン」であるCoCo壱番屋では、本場・インドへの進出を“最大目標”として頑張って来たらしい。果たして、その挑戦は成功するのだろうか。現在、香港、タイ、ベトナム、インドネシアなどにも既に出店している。おおむね反応は良い。これらの地域では“別もの”という意識で受け入れられている。そう、本来の“カレーライス”として受け入れられているわけではない。“別もの”の“美味しい料理”としてファンを増やしているのだ。考えてみれば日本人というのは、何でも本場とは“別もの”にしながら“日本流”として再構築する文化を持っている。そういう意味では、私の占いなども欧米人や中国人から見ると“別もの”に違いない。けれども、その“別もの”の方が占い技術として優れているなら、それを輸出していこうとするのは当然の発想となる。やがて30年以上経った時、インドは“別もの”のカレーの店で埋め尽くされているかもしれない。そして“波木流の占星術”が“インド占星術”に変わって普及しているかもって、それはないか。
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