スイスの高級時計・宝飾ブランドが今年4月~8月まで5か月間の売り上げ速報で、大きく落ち込んでいることが速報された。大きく落ち込んでいるといっても、実際には14%減程度の落ち込みで一般企業としてみれば大した落ち込みではない。それなのに、ここに取り上げたのは日本での落ち込みが25%で群を抜いていたからだ。どうして日本が大きく落ち込んでいるかというと、日本人の消費行動とは無関係で、旅行者である中国人による「爆買い」が無くなってしまったからである。それだけの話なのだ。中国人がどうして「爆買い」を止めたのかというと、理由は二つあって、その一つは日本に行かなくても日本に行ったのと同じような商品が安価で手に入る「ネット通販」が始まったからである。「爆買い」のためだけなら、日本に行くことが無意味になったのだ。もう一つは関税の問題で、海外からの購入品に対しては重く課税するシステムが成立したからだ。これによって、高級品のお土産は現地で購入しても“安くならない”品となった。この二つで、世界中で爆買いを続けていた中国人たちの購買意欲が一気にしぼんだのだ。だから、その恩恵を最も受けていた高級時計・宝飾ブランド企業がその影響をもろに受けた。当然、日本の百貨店にもその影響はあって、高島屋では同時期の純利益が23%減となっている。日本だけでなく、中国人旅行者の多い香港、台湾、シンガポール、フランスはいずれも大幅減で、これまで“成金趣味”の象徴ともいうべき高級時計や宝飾品を世界中で買いあさっていた中国人旅行者の動きが“ピタリと止まった”というのが正しい見方だろう。つまり、中国の経済成長そのものに「赤信号」が点滅し始めたということである。私が暮らす札幌のデパートや家電量販店では、今年に入って「爆買い」用に店舗を改装し、中華系店員等を補強していたが、時すでに遅し…で、閑散としている。
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