昨年の7月、和歌山の白浜海岸で、野田志帆さんは意識不明の状態で浮いているところを引き上げられ救急搬送された。そして、その二日後に病院で亡くなった。最初の通報者は夫で、一緒にシュノーケリングに来ていたが自分がトイレに行っている間に浮いていた、と証言した。この証言に不信がなければ、そのまま火葬場に向かうところだが警察の方から「待った」が掛った。それは海岸の監視員たちが誰も二人の姿を見ていず、救急搬送される時に車内で救命措置を施した救命士が「胃から砂が出て来た」と通報していたからである。もし、この通報が警察に届いていなければ、夫である野田孝史容疑者の「計画殺人」は成立していたのかもしれない。司法解剖が行われ、その結果、胃には大量の砂が混じっていたと指摘された。志帆さんはシュノーケリングの上級者で、自ら砂を吸い込むなどは考えられない。一緒に来ていた夫に“疑惑の眼”が向けられた。お決まり通り複数の「生命保険」が掛けられていた。シュノーケリングに誘ったのは夫の方であった。しかも、それは彼女が“協議離婚”の話し合いのため、仕方なく自宅に戻った翌日の出来事だった。それまでは体調を崩して実家の方に居たのだ。結婚してすぐに夫の浪費癖や浮気癖が発覚した。二人の間でトラブルが絶えなくなった。志帆さんはみるみる痩せていった。野田孝史容疑者のスマホ履歴からは「殺人」「交通事故」の検索が存在する。警察は当初から彼に容疑の眼を向けた。そこで別件の窃盗の方で捕まえ証拠固めをしていた。そして昨日、妻殺しの容疑で逮捕に至ったが、彼自身は黙秘中である。ただ妻にどうやって「砂を飲み込ませたのか」を説明するのはなかなか難しい。それが出来ないと殺人の立証にならない。このまま黙秘された場合、どう見ても“妻殺し”ではあるが、名探偵でも出現しないと「砂詰め」の解釈は難しい。
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