ときどき自分の“苗字(姓)”を嫌う人がいる。確かに特殊で印象的に良くない苗字の場合、変えたくなる気持ちはわかる。けれども、これまで家系的に使われてきた苗字を勝手に変えることは出来ない。もし、どうしても社会的に不都合が生じて変更したい場合には裁判所に出向かなければならない。個人の苗字でさえもそうなのだから、国家の名前である「国名」を変更するとなれば、もろもろの手続きが必要でよほどのことがない限り変更は難しい。しかし、それを決行しようとしている人物がいる。フィリピンのドゥテルテ大統領だ。元々「フィリピン」はスペインからやって来たマゼランによって「聖ロザリオ諸島」と呼ばれた。ところがマゼランは殺害され、続いてやってきたスペインの軍隊により征服されて「ラス・フィリピナス諸島」と呼ばれ、この名が現在の「フィリピン」に化した経緯がある。この名称は、植民地化した当時のスペイン皇太子「フェリペ」にちなんだものだ。その後350年間、フィリピンはスペインの植民地だった。その後、アメリカの植民地となり、1946年に独立するまで支配下にあった。私は昔、フィリピン女性と付き合ったことがある。明らかにスペイン系の血を引いた容貌の女性だったが、英語を話してキリスト教徒だったが、占いにも造詣が深くて占数術を得意としていた。スペインからの影響で国民の多くはキリスト教徒である。アメリカからの影響で国民の多くは英語を話す。つまり元々のマレー系の血と、スペイン系の血と、アメリカ系の血が入り交じっているのが“現代のフィリピン人”なのだ。実は「国名を変えるべきだ」と主張したのはドゥテルテ大統領が最初ではない。マルコス大統領もそれを望んでいたのだが一部から反対も出て実現しなかった。ドゥテルテ大統領が提案している国名は、現地語であるマレー系の言葉で「高貴に誕生した」という意味を持つ「マハルリカ」である。フィリピンが高貴に誕生したかどうか疑問だが、確かに独立国として16世紀のスペイン皇太子名を冠しているのもおかしいといえばおかしい。早くも一部から反対が出ているらしいが、果たして日本の元号が変わる頃、フィリピンは新国名に変わっているだろうか。
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