歴史上にはいくつかの“世界を牛耳った”王国や帝国というものが登場する。間違いなく、その一つは「古代ローマ帝国」である。今から2000年ほど前に隆盛を極めていた帝国だ。その第5代ローマ皇帝が「暴君」として知られるネロ・クラウディウス皇帝だ。18歳で皇帝の座につき、30歳の若さで自害している。そのネロ皇帝は「黄金宮殿」と呼ばれる“巨大複合施設”を作ったことでも知られるが、その中に“皇帝の隠れ家”として秘密の部屋「スフィンクスの間」が造られていたことがわかった。地元の遺跡を管理・発掘しているコロッセオ考古学公園という名の学術団体が、偶然この部屋へとつながる通路に出くわし、それを掘り進めていって“隠し部屋”の存在を発見したのだ。ネロの「黄金宮殿」は当時としては最新の“巨大複合施設”であったが、敵の多かったネロは後の皇帝たちから忌み嫌われ、彼に関連あるものは徹底的に破壊された。次の皇帝トラヤヌスは黄金宮殿のあった場所を埋めて“大浴場”とし、その次の皇帝は“池”となっていた場所にコロッセオを建設した。したがって、ネロの「黄金宮殿」を偲ぶものはほとんどなかったのだ。そういう点で、秘密の隠し部屋「スフィンクスの間」の発見は当時を知る貴重な資料ともなる。2000年前のまま神話伝承などの絵画やレリーフが天井や壁に描かれている。ところで「暴君」として後世に伝えられた皇帝ネロは、本当に“暴君”だったのだろうか。近年、これに関しては大きな疑問が投げかけられている。大体、新たな権力の座についた者というのは、自分と相いれない思想・主義・宗教の王の遺物は徹底的に破壊する。これは、どの時代、どの地域、どの君主でもそうである。特にネロの場合、ローマにおける“キリスト教の弾圧”ということを手荒に行った。このことが、やがて「キリスト教」が支配していくように変わったヨーロッパ諸国において“許しがたい行為”として映ったのは当然といえよう。何しろ、当時の「ローマ帝国」はローマ神話に由来する“多神教の国家”だったのだ。その“ローマ神話”の元になっているのは“ギリシャ神話”であり、さらにその元をたどれば“バビロニア神話”と“エジプト神話”に行き着く。イタリア観光の見どころは多いが、あと何年か経って「スフィンクスの間」も“古代ロマ帝国”の遺跡の目玉として公開され、その部屋の中で「暴君」とは思えないような神話上の神々に囲まれ、日本からの観光客も改めて“歴史の真実”を噛みしめることだろう。
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