時々“タトゥ(刺青)”が注目されることがある。昨日、ギネスブックに全身のタトゥで二つ認定を受けていた「ゾンビボーイ」ことリック・ジェネスト氏(32歳)が、モントリオールの自宅で遺体姿として発見された。公式発表はないが自殺らしい。パリのファッションショーやレディー・ガガ楽曲にも出演したことがある人物だが、全身9割にタトゥを施し、廃墟に一人暮らして自ら「ゾンビ」を名乗るなど、やや“異端児”的な人物でもあった。本業は“モデル”だったのか、“アーティスト”だったのか、よく解からない。実は、彼は15歳で脳腫瘍を患い、それがきっかけで自らの身体にタトゥを施すようになった。そういう意味では、単なる“好奇心”とは別物なのだ。日本ではあまり評判の良くないタトゥだが、海外ではそれこそ“アーティスト崩れ”のような人たちが、どう見ても“子供の落書き”のようなタトゥを平気で入れている。一つには“彫り方”に違いがあるからで、現代の短時間に出来上がる“機械彫り”では、細かな文様や色彩が入った刺青は出来ない。美的な要素を持った刺青やタトゥは大変に美しいし、芸術作品のような気品を放つものもある。全身9割はちょっと“入れ過ぎ”で美的観念からも3~6割くらいにとどめるべきである。まるで白い壁に書いた“思い付きの落書き”のようなタトゥもあるが、せっかく自分の身体をキャンパスにするなら“誰もまねの出来ないアート”としての作品を時間がかかってもじっくりと仕上げるべきだと思う。大昔、子供の頃、私はたくさんの刺青を銭湯の中で観た。たくさんのいかつい男たちが全身に刺青を入れていたのだ。よく何も知らない私のような子供が一緒に入っていられたものだと思う。けれども、彼らは総じて紳士だった。だから、私はそれがどういうことなのかを知らないまま大人になったのだ。多くの温泉ではタトゥのある方は入れないらしい。或る種の情緒が消えたような気がするのは私だけなのだろうか。
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