スペイン人がブラジル人を“人種差別”する。それは、日本人の感覚からすると“なぜ”なのか、よくわからない。けれども、実際に長時間それを受け続けると、涙を流して抗議するのも当然のような気がする。そういうサッカーの試合が数日前にスペインで起こった。ブラジル人MFのエベルトン・ルイスによると、相手チームのファンが90分間にわたって人種差別的な挑発行為を繰り返したという。場内アナウンスで警告が何度か流されたが治まらなかった。たまらず彼は、試合後にファンの客席に駆け寄り、逆に中指を立てて挑発した。そして、涙を流しながら会場を後にした。近年、政治の世界をはじめとして“異民族”に対しての拒絶反応が世界的に強まっている。スポーツの世界にだけは持ち込まれないかと思っていたが、どうもそうではないらしい。サッカーでも野球でも、チームプレーの世界では、時折それが前面に出るらしい。確かにオリンピックなどでは、国別の対抗戦ということもあって、どうしても“異端の人種”に違和感を持つ。それは仕方がない。けれども、国別の対抗戦ではない競技においても、人種や民族の違いを持ち出されてはたまらない。例えばアメリカの野球・大リーグなど、現在は中南米からの異人種が大多数である。近年では日本人などアジア系の選手も多くなった。日本の国技・相撲だって、今ではモンゴルの力士が大多数となっている。サッカーのファンは、元々“お行儀”が悪い。かつて日本人の中村俊輔氏や川島永嗣氏も、同じような人種差別を受けている。中村氏は「お前は黄色だからな」と監督にからかわれ、川島氏は東日本大震災の直後「フクシマ」「フクシマ」と連呼され、試合中に涙を流した。或る選手は「実力があっても、日本人にはなかなかチャンスが回ってこない」と嘆いていた。何十億というお金が動く世界だが、それだからこそ十分な働きが出来なければ、“人種差別”の本能が罵倒を浴びせる形で“こだま”するのだ。
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