「子宮体がん」で治療を受けなければ“余命一年”と宣告されながら、世界選手権に挑み続けた人物がいる。プロバックギャモンプレーヤーの矢澤亜希子氏だ。「バックギャモン」というのはボードゲームの一種なのだが、世界に3億人プレーヤーがいるメジャーゲームの一つだ。実はこのゲーム、私は知らなかったのだが日本に入ってきたのは古く奈良時代にさかのぼる。そして平安時代に貴族の間で大流行したゲームなのだ。ただ少し賭博性があるため幕府から禁止令が出されて、その後密かに命脈が絶たれた。彼女は、このゲームを大学時代に旅行先のエジプトで知った。そしてぐいぐい引き込まれていった。2004年、日本のタイトルを初めて女性で獲得した。2012年にはモナコ王国で行われる世界選手権の一部門で優勝し「矢澤亜希子」の名を世界に知らしめた。丁度そのころ「子宮体がん」が発覚したのだ。けれども、彼女はひるまなかった。ドクターストップが掛かっても、カツラを被って世界各国の大会に出まくり、優勝や入賞を重ねた。世界に3億人のプレーヤーがいるが、女性は少なく5%未満と言われる。したがって闘うのは常に男性たちだ。「泣いている時間を努力に変えよう」がスローガンである。抗がん剤の影響で頭がふらふらしても、それを敗戦の言い訳にはしない。その結果、2014年にはモナコの世界選手権で女性初の「世界王者」となった。彼女はゲームでもチャンピオンだが、病魔に負けない精神力の強さでも誰もが認める“世界チャンピオン”に違いない。
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