ときどき興味深い統計が出る。昨日、私の眼に留まったのは2019年に家族から届け出があった「行方不明者」の統計である。その総計は7399人で特別多い年ではないそうだ。その中で年代別の統計があり、10代は1452人とどの年代よりも多かった。それに続くのが80代で1295人となっている。その中間の年代では徐々に減っていく。なぜか、10代と80代が示し合わせたように、家族に黙って「家」を飛び出すのだ。一方、発見者の数も示されていて、この中には昨年の行方不明者だけでなく、それ以前の不明者も含まれるのだが、6409人が無事発見されている。大雑把に言えば、発見されないままの不明者は約1000名ということになる。ところで“10代の若者たち”はなぜ家を飛び出すのか。私の若い頃には、五木寛之氏が書いた『青年は荒野を目指す』という本があり、寺山修司氏の書いた『書を捨て、街へ出よう』という本があった。10代の若者たちに「家庭」という安住の領域に留まってはいけないと啓発するような本が共感を呼んでいた。けれども、今は、ほとんどそういう挑発的な本はない。社会的な背景としても、その当時のような不安定な社会情勢とは言えない。親子間における「対立の構図」なども滅多に聞かない。昔などより、はるかに親子による意思疎通は取れている印象が強い。もっとも、それはあくまで大多数であって、そこから“食み出した家庭・家族”が沢山あることも知っている。また、必ずしも「家」が嫌だから“飛び出す”とは限らないことも現代の特徴だ。恋愛の相手と一緒に暮らしたいとか、未知のところで生活してみたいとか、自分の夢に賭けてみたいとか、さまざまな理由が存在している場合もある。時には“誘拐に近い形”で家族から姿を消してしまう場合もある。昔と違うのは、ほとんどの場合にスマホや携帯電話を持っていることだ。さて80代の方はどうだろう。実は、こちらの方が“捜し出す”という点から言えば難しい場合も多い。特に認知症である場合は、勝手に相当遠くまで移動しているケースが多い。近年、IT化が色々な分野に浸透してきているが、この80代の認知症の人達には身体にチップを埋め込んで、どこに行ってもすぐわかるようにしておけば安心のような気がする。つまり、ITとかAIとかは10代よりも80代の方に“使い道”が色々とありそうな気がする。自動運転だって、若い人より、お年寄りに役立つはずなのだ。逆に、10代では強制的に「3か月間」スマホや携帯を使えない環境で生活することを義務化する。そうすることで、それまで見えなかったものが見えて来る10代の若者が沢山誕生するに違いない。
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