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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


80年代の長編漫画が今年「国際漫画賞」を受賞


人間の評価はときどき“亡くなって後になぜか急騰する”ことがある。生前は“一部の人のみ”が評価している場合が多い。この人の場合も、そうであったに違いなく、どちらかと言えば日本人には“難しいテーマ”だったせいもある。80年代に日本で連載されていた『石の花』という漫画作品だ。坂口尚氏は手塚治虫作品でもアニメーターとして活躍した人物だが、長編は少なく『石の花』が初めての長編作品。90年代に入ってからフランスでも刊行されたが、作者は95年に亡くなっている。どういうわけか昨年10月に新装版が出て、このほどの受賞につながった。その内容はナチスドイツに抵抗するユーゴの人々を描いたもので、現地取材も重ねて、多数の資料など駆使して描いた力作だ。彼は「五つの民族、四つの言語、三つの宗教の中で必死に生きている人々を描きたかった」と述べていたようだ。こういう“地味だが史実に基づいた重いテーマを扱った作品”はどちらかと言えば日本国内より海外で評価されやすい。新装版の発刊が“ロシアのウクライナ侵攻”と偶然にも重なったことが受賞の追い風となった。“戦争批判”や“政治批判”などは、直接的な批判行動やデモなどより、どちらかと言えば芸術や文学や音楽などの方が説得力を持つ。それも、第三者的な視点から歴史的事実を“物静かに描く”方が説得力を持つ。戦闘の直接場面よりも、それに付随したさまざまな人々の日常や人生の断面の方が重く伝わる。われわれが自分の気持ちを素直に投影しやすいのは、身近な人々の日常だからだ。だれでも幸せになりたい。だれでも脅えながら生きるのは嫌なのだ。だれでもくだらないことで笑い合える日常が良い。だれでも隣りに居る人を信じたい。あした生きているかなど確かめ合いたくはない。最終的に誰でも、手探りの中で見つけたぬくもりを必死にたぐりよせ生きていくのだ。
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