こういう番組をどう捉えれば良いのだろう。制作サイドは日本の視聴者をあまりにも軽んじすぎているのではないだろうか。7月18日のTBS古代エジプト世紀の大発見プロジェクト「ツタンカーメンと伝説の王妃3300年の新事実」は、見事なまでに期待を裏切った番組だった。まず第一に番組名がおかしい。「世紀の大発見プロジェクト」って、実際には何も“新たな発見”などない。既に「古代エジプト」に関心を持つ人たちにとっては“知られすぎている事実”を、何を血迷ったのか“世紀の大発見”と騒ぎ立てているに過ぎない。大体、制作サイドが古代エジプトの歴史について、あまりにも無知なのではないか。だから騒ぎ立てるようなことでもないことに対して「世紀の大発見」などと加えるのだ。今回の番組で扱っているのは“すべて仮説”に過ぎない。仮説が実証されたとき、仮説は初めて“発見”になる。まあ百歩譲って、仮説上の発見ならそれでも良いが、もう少し“大胆で興味深い仮説”でなければ“大発見”などとは言えない。この番組の制作者たちは「ツタンカーメン」と「大発見」のキーワードを入れておけば、視聴率が取れると思っていた節がうかがわれる。その証拠に出演者たちが偏りすぎている。古代エジプトに対して“無縁”なタレントを出しすぎである。何よりも“再現ドラマ”がお粗末すぎる。古代エジプトのファラオを日本人俳優が演じても良いが、もう少し古代エジプト人らしい外見の俳優がいくらでもいたはずである。何故、あんな“縄文土器を作っているおやじ”のような男性をファラオに仕立てるのか。幼少のツタンカーメンにしても“アンパンマンの子供”のような鈴木福君を起用するのか。学芸会にしか見えないではないか。
大体、この番組が“誰”にスポットを当て、“何”を伝えたいのか、考古学的仮説を伝えたいのか、いくつかの“謎”を伝えたいのか、安っぽい“ファラオ物語”を再現したいのか、制作の意図がつかめない。もし本当に「大発見」を伝えたいのなら、少なくとも新たな遺跡とか、遺構とか、埋蔵物とか、何かしら“新たなもの”を提出しなければいけない。番組独自の“証拠品”とか“新仮説”とか“新データ”とか、何かは見せないと、“UFO”や“霊体”と同じく「あるかも…」で終わるなら、わざわざ3時間番組を作る意味がない。古代エジプトに関しては、これまでにもさまざまな仮説が唱えられ、その中には実証には至っていなくても“興味深い仮説”がいくつも存在している。そういった仮説を集めて放送するとか、いくつかに焦点を当てて検証していく番組があっても面白いと思う。実際、海外にはその種のドキュメンタリーが存在している。あまり専門的になりすぎてもつまらないが、総じて日本のこの種の番組は低俗に過ぎる。誰にでもわからせようという意図があるのかもしれないが、そもそもこういう番組は興味のある人しか見ない。ということは或る程度の“予備知識”は持っている人たちが見ている、という前提に立たなければならない。そうであるなら、多少、専門的な知識も加えるとか、新たなデータを持ち出すとかしなければ、“そんなの知ってるよ”という時間が長々と続くことになる。推理ドラマでも、説明しすぎるものはつまらないが、解説は文字で小さく記すとか、ナレーターが説明するとかして、極力、臨場感の溢れる番組制作にしないと興味を引っ張れないことに気付くべきである。少なくとも「ツタンカーメン」や「大発見」のキーワードだけで3時間は持たないのだ。
一時期盛んだった「大ピラミッド」に関する“謎番組”もめっきり減った。大ピラミッド脇の地下から「第二の太陽の船」が発見されたのに、その具体的な解明はどうなってしまったのか。たくさんの文字が描かれてあったのに、その文字に何が記されていたのか、何故か、どの研究者もきちんと報告していない。“第二の船”の組み立ては進んでいるのだろうか。吉村作治氏はもはや「太陽の船」には興味がないようで、そのこと自体も“謎”である。むしろ、そういうことに関して、どこかの局が徹底的にマークして“その謎”を解き明かしていく番組を作ったなら、その方がよっぽど面白そうである。
私は以前『古代エジプト守護神占星術』を書いた。その本の中で、古代エジプト「王国の緯度」と「王室肘長」の関係、「スフィンクス像」と「しし座」の関係、「ハピ神像」と「みずがめ座」の関係、「シリウス」と「大ピラミッド」の関係など、さまざまな仮説を展開した。これらに対する反響は乏しく、古代文明に興味を持つ読者が“どう感じたか”知ることができずにいる。私が本当に読んでほしかったのは、エジプト学者たちだった。少なくとも、頭から否定できる仮説ではない。この本にコラムとして記した「古代エジプトの神話に秘められた真実」もぜひ読んでほしい部分で、これまでの通説を根底から覆す仮説を提示してある。簡単に記せば『旧約聖書』創世記の記述や教えは、古代エジプトの“神話伝承”におうところが大きいのだ。そういう意識で「創世記」を読み返せば、すべての謎が氷解するのである。
掲載日:2016年07月21日
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