昨日、京都市上京区にある立本寺の敷地内にある「お堂」から“仏像が盗まれた”と通報があった。6月7日早朝、いつも立本寺へとお参りにやってくる信心深い人物が「お堂」から無くなっている「仏像=月天子」に気付いたのだ。その仏像は50㎝くらいの大きさで仏像としては小さめだが、制作時の着色が今でも残っている美しいものだ。1700年代には既に存在していたが、誰が彫像したのかはわからない。したがって、どれほどの貨幣価値がある作品なのかもわかっていない。「月天子」と呼ばれるだけあって、正確には“仏像”というより“月の化身”で、月珠(ウサギが描かれた満月)を手にする形象となっている。実は「月天子」というのは“画像”として描かれることはあるが、彫像として立像化されているものは大変に珍しく、その意味でも貴重な作品なのだ。ただ元々“月の化身”なので、月の光が届くよう敷地内の「お堂」に安置してあったと思われる。けれども一応“仏像”でもあるので、眉間中央上部には“ホクロ”ではない「白毫(びゃくごう=光を放つ毛)」が突き出ている。一体、誰が、深夜にこの仏像を盗み出したのだろう。まず、この仏像は多くの人に知られた存在ではない。このお寺自体も特別有名と言えるほどの寺ではない。しかも、敷地内とはいえ、外に安置してあったということは、珍しい彫像ではあっても、特別価値ある彫像だったわけではない。関係者によると「お宝」としての金額もつけようがないらしい。そのようなものを、わざわざ“盗み出す”ということは、余程、この彫像そのものに対しての“愛着”や“想い入れ”がなければ行わないのではないだろうか。夜に来て、持っていったということは、以前に来たことがあり、実際に視て“持ち帰りたい”願望が強まったからではないだろうか。少なくとも“壊す”とか“売り渡す”とかの心配はないような気がする。もしかすると、これまで「月天子」を熱心に信仰してきた人物の“異常愛”が招いた犯行なのかも…。
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