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過去の占いコラム

素顔のひとり言(エッセイ集)


ドキュメンタリーとしての「占い師」たち


フジテレビ系のテレビ番組で「占い師たちの不思議な人生の物語」というタイトルのドキュメンタリーを見ました。

そこに登場していたのは、高山東明という手相家と、その手相教室の生徒さんたち、秋山勉唯絵という易占・推命家と、その占い学院の生徒さんたちで、それも、どちらかというとその私生活に密着する形のドキュメンタリーでした。

プロ占い師になろうとする方達の動機やその決意、過去から現在の生活実態、家族の反応、生活を支えていく収入源、そして初めての実占現場、その後の心境や状況など。

一方、教える側の高山氏や秋山女史の私生活にも密着し、家族との関係や過去なども語られていました。高山氏が元妻に出て行かれた話や、秋山女史の3度の結婚や息子さんの難病など、一般にはあまり公にされることのないような事実が公表されていました。

私は、この番組の制作姿勢に大変好感を持ちました。そこには、人間としての「占い師」及び「占い師予備軍」が、悩みや不安を抱えながら生活している実態が的確に描かれていたからです。テレビの中で「私には悩みや不安は一つもございません」といったことを公言したがる占い師や、そういう形で放映したがるテレビ局がほとんどであるだけに、こういう番組は貴重だと思うのです。

確かに、占いの役割の中に、夢を売る、という部分が含まれていることは事実です。エンターテインメントとしての占いの中に、簡単で愉しく出来そうな仕事に見える部分があることも事実です。けれども、職業としての占いは、一見華やかかに思える職業の多くがそうであるように、ピンからキリまでの世界であり、光と影の中で蠢いていることもまた事実なのです。

そして、本当に世の中にとって大切なのは、一部の輝かしい成功を手にした占い師たちではなく、むしろ、その他大勢の不安や悩みを実生活の中で抱えながら、同じように不安や悩みを抱えている人々の「転ばぬ先の杖」となれるよう日々努力している占い師、及び、占い師予備軍たちなのです。

人は誰でも弱いので、支え合って生きていかなければなりません。これは占い以前の、とても重要な事実です。人生に打ちのめされているときに、本当に心の支えとなってくれるのは、時として、スポットライトを浴びている占い師ではなく、同じような不安や悩みを抱えている占い師や占い師予備軍かもしれないのです。

だからこそ、世界中に名の知れぬ占い師たちが、葦の浮き船のように、わが身を知らずに明日を生きているのに違いありません。

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