暖冬、暖冬と云っていたら、あっという間に真冬に逆戻りしてしまった。北国の冬は、白くなる。橋の袂に立つマンションの12階の窓から、見る見る雪化粧を施してゆく街を見下ろしていると、同じ日本でも、札幌のような四季のハッキリしている地域の方が、自然界の循環を肌で実感できるかも知れない…と奇妙なところで納得する。春になれば、白かった視界は鮮やかな緑に変わってゆくはずだ。
それにしても、今年はもう、このまま春が来るものだと、何となく誰もが感じていたに違いない。大自然はいつも、そういうときに、自らの力を鼓舞するかのような脅威を見せ付ける。地震、豪雨、強風、寒波、大雪…大自然の威力を改めて印象付ける。そうして、古代人の英知が見破った大自然の循環法則が、決して絵空事でないことを証明してみせる。陰陽・五行の循環理論では、気温や天候で季節を捉えない。四季の変化は、日照時間のみで捉えていく。そうすると、一見どんなにいつもの年とは違う気温や天候になっても、この日照時間だけは毎年一定・同一で、しかも冬至以降、徐々に徐々に増え続けていくものなので、季節が確実に春に向かって動いていることを物語ってくれるからだ。どんなに異常気象の年が来たとしても、この日照時間に変化が起きない限り、四季の巡りは確実に循環し、何事もなかったかのように気温・天候の軌道修正を行いながら、季節を巡らせていく。
そういう意味では、四季の巡りは、我々の運命のめぐりと非常に良く似ている。運命と呼ぶか、人生と呼ぶかは自由だが、それは時々行きつ戻りつしながら、或いは軌道修正しながら、けれども確かに、何かに導かれているかのように、運勢としての軌道を暗黙の内に歩んでいく。それは時として、坂道を転がり落ちるように突き進んでいくこともあれば、逆に、ある時期を境に上昇軌道へと逞しく進み始めることもある。その下降や上昇が緩やかな人もいれば、際立って激しいケースもある。
ただ、そのこと自体に間違いはないが、若い頃頭で考えていた法則通り進むものではないことに、徐々に気付くようになった。いわゆる運命学の法則通りとは云えないのだ。運命学の法則をはるかに超えて、動き出す人生が確かに存在する。例えば、四柱推命では、大運とか行運とか呼んで十年後との運気を語ることが多いが、実際の運命というか、人生というか、そんなに型に嵌まったものばかりではない。そんなことは誰でも経験的に知っているのに、誰一人、占いの研究者で、それを口にするものはいない。私に云わせれば、占い師全員『裸の王様』の物語を地で行っているようなものだ。何故、運勢の波が「十年毎と云うのはおかしい」と、言葉に出せないのだろう。たぶん、みんな怖いのだ。古代から、正しいとされ続けてきたことを、否定する勇気がないのだ。土台が、この移り変りの激しい世の中で、十年毎でないと運が変わらない、という考え自体、おかしい。実は、理論的にも、十年ではなく、五年の方が理に合っている―と、私は考えている。このことに関して説明し出すと長くなるので話さないが、多くの人は知らないが、元々四柱(子平)推命というのは、出生日干が「我」ではなく、出生年干が「我」であったのだ。おそらく、これを読む人の9割は、このこと自体も知らなかったはずである。
占いには、このように本当のことが知られていないで今日まで来ているケースがたくさんある。私の役割の一つには、それら秘められてきていることを一般公開して、運命というものを、改めて考える機会を与えることにもあるような気がするのだ。
掲載日:2007年03月16日
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