【80年前に掲載された実例手型】

手相を実際に研究する場合、実例を基として研究するのが一番良いのですが、今現在を生きている方の場合は、個人情報的な意味合いもあって、なかなか全面的に公開出来ません。そこで、すでに故人となっている外国の著名人の実例手型を基に解説をすることにいたしました。主要な履歴も付け加え、特徴のある部分のみの手相解説にとどめ、読者自身がデータ的に活用して研究できるよう配慮しています。

【実例2=エドガー・ウォーレス】

エドガー・ウォーレス手相1
エドガー・ウォーレス2

【主要な履歴】

  • 1875年生まれ。探偵小説家。
  • 学歴はない。
  • 従軍記者生活を経て作家へと転身。
  • 1週間1作という超ハイペースで作品を量産する精力的な作家であった。
  • 成功後は豪勢なホテル住まいでブルジョワ的な生活を続けた。
  • 1933年に死亡。

【手相の解説】

手首の上で親指付け根横に位置する金星丘、及び小指側に位置して向かい合う太陰丘が共に広い面積を占め大きく盛り上がっています。このような手は本来、精力的な活動を続ける事業家や政治家やプロスポーツ選手に多く見かける相です。作家の場合は例外なく多作型で、室内に閉じ籠って執筆するだけのインドア派の作家ではなく、あちこち飛び回りながら取材し書き続けるルポライター型の作家に多いものです。   薬指と小指が長く、特に小指は長いだけでなく、太くてしっかりとした印象を受けます。長い薬指は“芸術家にふさわしい相”で、その発想は大胆ユニークで、その時々の状況を把握し瞬時に対応していく勘の働きが良いものです。長い小指も融通性が利き、論理の組み立てが巧みです。薬指と小指の長い人は、どのような状況下におかれても、危機を切り抜け、商才を発揮して生き延びていくのが常です。   生命線(a-c)の取り囲む面積は大きく、小説作品をたくさん生み出していく生命力の持ち主であることを暗示しています。作家は生命線内領域が狭いと、たくさん作品を世に送り出す力を持たないものです。ただ生命線の途中に切れ目(h)あって、そのすぐ下には袋状の島型あって、下部には斜めに横切っていく線(i)もあって、生命線としてきれいな形状を保ってはいません。   したがって、生命力そのものは強く大きくても、健康状態には魔手が伸びている相であることを指摘しないわけにはゆきません。   頭脳線(a-b.a-k)は特殊な相を持っていて、ほぼ直線的に手のひらを横切る線と、途中から大きく分岐し跳ね上がっている線が見受けられることです。大きく跳ね上げる線は感情線(d-e)を突っ切っていて小指方向を目指しています。これは“商売上手な相”の一つではありますが、相手の気持ちを無視しても強引に物事を推し進めていく形でもあり、反感を買いやすいので注意しなければなりません。   運命線はやや不規則で、何本かに分かれ並行しながら中指方向へと向かい、その中で一番強い線(f-g)を“運命線の主線”と見て良いかもしれません。これは社会の競争を勝ち抜く形で、多方面で活躍する素質を持つ人の相ですが、その分、途中から予期せぬ方向へと歩み始めるケースが少なくありません。   作家にしては太陽線(j)がやや弱くて判然としていないのが気になります。このような手相では、若い時に成功しても晩年までそれを保ち続けられなくて、晩年は「過去の栄光」に縋って生きていく場合も見受けられます。また、彼のように比較的若く生命が絶たれてしまうケースも少なくありません。