久しぶりにヨーロッパへ行った。それも初めて東欧諸国を回った。
ヨーロッパは遠い。飛行機の中で、ヨーロッパに来るたびいつも思う。新千歳空港から関西空港へ行き、関空からアムステルダム空港へ行き、アムステルダムからブタペストへ行く…時間だけでなく、こうして何度も乗り換えるのだから、遠く感じるのは当然と云える。ヨーロッパの伝統や習慣は根強く、日本人にはなかなか馴染めないものが多い。たとえばチップだ。私は海外に行って、いつもこの習慣に出逢うたび、ちょっとだけ不快な気持になる。チップが悪いわけではない。確かに気分の良い時、我々はチップをはずみたくなるようなときがある。それは日本人だってそうだ。ただ、例えばトイレに入るのにチップを取られるのは、どうもしっくりこないのだ。それは、サービスに対する感謝とは全く別物だからだ。言ってみれば感謝を強要するようなもので、どうもいただけない。むしろきちんと課金制にすれば良い。そう思っていたら、最近のヨーロッパの高速道路サービスエリアでは課金制としているトイレがあった。コインを入れないとトイレの中に入れないシステムとなっていた。この方が合理的だし、気分を害さなくて良い。ただ小銭を持っていない時は不便だが…。まあ、コンビニで雑誌かジュースでも買えばよいのだ。
雑誌と云えば、ヨーロッパの雑誌には妙に付録の豪華な雑誌があって驚かされる。たとえばペンとメモ帳がセットになって付録として付いている雑誌であるとか、革のトートバッグが付録として付けられている雑誌であるとか、プレイングカードが付録として付いている雑誌であるとか…どうしてあんなに豪華な付録が付けられるのか知らないが、とにかく日本のちゃちな付録とは明らかに違うのだ。試みに私は革のトートバッグが付録として付いた雑誌を購入したが、このトートバッグ日本で普通に購入したなら、少なくとも3千円以上はするだろうという品物に思われた。そして実際、旅の後半で土産品を入れて歩くのに大活躍した。本格的でデザインも良い型押し茶系バッグなので持ち歩いて不自然ではないのだ。何となく東欧諸国と云うと肩ぐるしい雰囲気を想像するが、実際にはそういうこともない。妖しい店だって存在するし、妖しい雑誌だって売られていたりする。我々が泊まったホテルの向かいには、妖しいポールダンスで誘いかける店があって驚かされた。文字通りピンク1色の店で、そのピンクの硝子戸越しにビキニスタイルの女性が妖しく踊っているのが見えるのだ。
占いに関しても、大聖堂とか教会とかが目白押しで敬虔な信者が多いので、占いなどは乏しいのだろうと思っていたが、実際にはそうでもなかった。一般的な占いの普及率は少ないようだが、占いも含めた精神世界・オカルト的なものへの依存度は決して乏しいわけではない。むしろ強いのではないかと感じさせる部分があった。それはプラハのオカルトショップで、その2階部分には地元の人達が多数押し寄せ、精神世界の本、占いの本、魔術的なグッズ、各種の石などを買い求めていたからだ。中には、そこの店主に人生相談を持ちかけている女性さえいた。買い物客を待たせて応じていたから、もしかしたら店主は少しだけ占い師めいた相談役も果しているのかもしれなかった。
正直、今回の旅行では占い関連のものを入手するのは無理だろうと思って出掛けたのだが、本格的なホロスコープ雑誌も購入できたし、ヨーロッパ式手相の本も何冊か持ち帰ることが出来た。もっとも、チェコの言語で書かれてあるので読みこなすことはできない。読みこなすことはできないのだが、大体何が書かれてあるのかは推測・判読できる。私はいつもそうだが、海外で本を買うとき、読めるから買うのではない。雰囲気として理解できるから買うのだ。したがって、どうしても図解や写真、表記・イラストの多い本が主体となる。そこで手相・人相・ホロスコープ系の本が購入対象となる。ちなみに、今回訪れた店では、中国系の占い本も置いてあったし、世界の各種タロットデッキも売られていた。チェコ独自のものもあったのだが、大判で本とセットになっていて、荷物となるので買うことはしなかった。本でもそうなのだが、あまりぶ厚く、重い書籍はどうしても買えない。しかも、そういう書籍に限って文字が多く、図解・表記やイラスト・写真が少ない。それだと買えないのだ。今回の手相の本には図解だけでなく、実際の手型が何枚も付いた本があり、その人物の名称や簡単な履歴も付いていた。しかも手型の取り方まで写真入りで説明している。手相の判断方法自体のレベルはそれほど高いとは思われないが、研究に取り組む姿勢は真摯で本として実用的でもある。今回は購入しなかったが、ヨーロッパ式の人相術書、また手相と人相とが一体となって研究・著述されている本もあった。ただ、総体的に文章主体で図解は荒っぽく、正確な図解、判りやすい図解のものは少なかった。
ホロスコープの雑誌も本格的で、何よりもホロスコープ図解が精密で、惑星の位置をきちんと線で引いて表記してある。誕生時の惑星位置だけでなく、トランジットの惑星位置も外部に記してある点が、図解として判り易く、占星学的にも本格的だと云える。ただ惑星の表記(特に天王星と冥王星)には独特な部分があって、オーソドックスなアメリカやイギリスの占星家の表記とは異なる。また、多分これは一般向けの雑誌と思うのだが、メジャーアスペクトだけでなく、マイナーアスペクトに対しても同様に表記してあり、その点でも異色だと云える。また5月発売=6月号の中で、6月における各惑星の1日~30日まで毎日の星座位置について、分・秒単位まで正確に掲載している。ただ、ひとつ気になったのは、別な女性雑誌で記載されていたホロスコープの運勢解説と、この雑誌とでは星座表記(星座名称)が異なることで、さらに別な雑誌では明らかに「おうし座」から12星座をスタートさせている。この違いがどこから来ているのか、私にはわからなかった。また、この雑誌ではタロットについても若干ふれてあるが、通常「0」から始まるカードを「1」からスタートさせていて、「21」ではなく「22」の数字で終わっている。スプレッドも独特の十字形スプレッドで、半円形スプレッド法もあるようだ。多分、広告としてだと思うのだが、何人もの占い師たちの写真も掲載されている。ハッキリ言って妖しそうな人もいれば、信頼出来そうな人もいる。まあ、それはどこの国でも同様だ。今回は占ってもらうことはできななったが、次回にはそういうチャンスがあれば…ぜひ見てもらいたいものだ。
掲載日:2009年05月31日
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