日本の“お年寄り達”が次々と雲隠れし始めたのか。100歳以上の高齢者が“実際には行方不明”になっている例が次々明らかとなってきた。行政や自治体は一体何を行ってきていたのか。役所と言うところはおかしなところで、眼をつぶっても良いような事柄に対しては、重箱の隅を突くかのような周到さで“ちょっとしたミス”とか“勘違い”とか“あいまいさ”でも厳しく指摘し、書類を改めさせたり、税金を取り立てたりするのに、いったん自分達の手を離れてコンピュータ化したものに関しては“驚くほど寛容”である。というか“ずぼらすぎる”ようだ。それが表面化したのが今回の“高齢者の行方不明”“年金振込の継続”の実態ではないだろうか。もちろん、行政の手が忙しくてそこまで回らない…のかもしれないが、一方で僅かの年金さえ中々受給出来ずにいる人がいることを思うと、あまりに片手落ちだという感が拭い得ない。
“年金”とか“生活保護”とか“各種支援金”とか“子供手当”とかは、元々我々の税収に頼ったものだ。厳密にいえば、年金の場合は税収と言えないかもしれないが、我々の実感としては同じことだ。健康保険料なども実感的には税金で、自営業者である私などは年間70万ほども収めている。健康・介護保険料のみでどうしてそんなに持っていかれるのか解からないが、これに所得税、道市民税、消費税、固定資産税…等総額になると年間200万以上のお金が出ていくようだ。正直、きちんと計算すると虚しくなるのでしたことはないが…。個人経営の零細業者である私にこの税負担は極めて重い。もっとたくさん儲かっている企業が山ほどあるではないか。何も、こんな細々と“占い稼業”を継続している市民からむしり取らなくても良さそうなものではないか。鬼!悪魔!…等とへんてこりんな役所からの用紙が送られてくるたび、私は心の中で毒づくのだった。
昔、私は会社勤めをしていたので、その時には自動的に種々な税金等が引かれた金額で振り込まれていた。したがって、あまり税金というものの重みを感じていなかった。少なくとも企業における税金の引かれ方は一律で、その意味では不公平感はない。ところが自営に変わると“自主的に納税”しなければならない。嫌でも「税金」というものと向き合わなければならないのだ。しかも前年度の所得に応じた税金額となる。そこで私のような業種の場合、毎年、収入にはかなりばらつきがあって、例えば前年度の半分以下に落ち込んでしまうようなこともないではない。それなのに、その少なくなっている状態の収入から前年度の税金を支払わなければならない。当たり前といえば当たり前なのだが、これが堪える。新聞報道によると国民年金の支払い率が年々下がっているようで、或る意味、当然のような気もする。若い人達の方が、今の高齢者の年金を支える構図を何とかしていかないと、不公平感が募って支払わなくなる人が増えてしまうのは仕方がない。ましてや今回のように“行方不明”で事実上存在していない高齢者に年金が振り込まれ続けていたりすると、ちょっとした犯罪の匂いさえもしてしまうものだ。私が推理作家なら、これを題材として作品を書けそうな気さえする。
“お金”というものは“魔物”で、人の性格も変えるし、運命も変える。いつも思うのだが、私は“大金持ち”にはなりたくない。大金持ちというのは何かと恨みややっかみを買いやすいもので、子孫を争わせることも多い。大金持ちの人で“穏やかな幸せ”を享受している人は意外なほど少ないものだ。マイケル・ジャクソンなど一時的に途方もない財産の持ち主となったが、あっと言う間に借金が増え、その支払いのために命を縮めたようなものである。本人が亡くなって、再び大金持ちに返り咲いたが、あの世に持っていくことは出来なかった。大金持ちというのは往々にして安泰ではない。
幸福・安全に暮らすためには“そこそこの金持ち”或いは“小金持ち”が良い。周りの人にさりげなく奢ってあげたり、プレゼントをしたり、ちょっとだけ寄付できるような程度の金持ちが良い。自分自身で欲しいものが出てきたとき、財布の中身を心配しないですぐ買えるような“その程度の金持ち”が良い。働けなくなった時でも、病気になった時でも、とりあえず今すぐ“お金の心配はしなくて済む”ような、その程度の金持ちが良い。そう思って過ごしているのだが、残念ながら、まだ家のローンも残っている私は、病気になった時でも悠々自適でいられるほどの金持ちになっていない。そして、当分、そこに至るまでの余裕は生まれてこないに違いない。
掲載日:2010年08月17日
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