「single-blog2.php」* 有料カテゴリ:「過去の占いコラム」は一括2,000円で全て読むことが出来ます。// ざっくりとは終了 // Header画像を変更する事

過去の占いコラム

素顔のひとり言(エッセイ集)


薬物が人生・運命を変えていく


大相撲力士やゴールドメダリストの大麻事件がまた起こった。芸能界、スポーツ界、さらには大学生と、大麻とか覚せい剤とかが、再びじわじわと広がりを見せ始めている。自分とは無縁だと思う人が多いはずだが、案外身近なところにも薬物の魔の手は忍び寄っている。私のお客さんで仮にAと云う女性がいた。彼女は高校3年生の時から私の元へと鑑定に訪れるようになった。真面目な女性で、通常そのくらいの年齢だと恋愛のことを必ず訊いてくるものだが、彼女は違った。看護大学に入れるかどうか、医療系の道に進むことは適正かどうか、それだけを訊いて来た。私はそれらに関しては太鼓判を押し、ついでに学校に入ったら、好きな男性が出て来るだろう、と付け加えておいた。彼女は「そうかなあ…」と、興味がなさそうであった。

やがて無事大学に入学した彼女は明るくお礼に来た。そして、どの部活だったかサークルだったかの選択で、私に相談してきた。明るく聡明で真面目そうな印象も変わらなかった。ところが、夏休みに入ってアルバイトを始めたころから彼女に変化が出始めた。私の予言通りにアルバイト先の男性に恋してしまったのだ。それまで勉強一筋できた彼女は、男性に対しての免疫性がなかった。どうすれば付き合えるか…問われるまま私はいくつかのアドバイスを彼女に与えた。こうして彼女の恋愛遍歴が始まった。

それから何回か似たような恋愛相談で彼女は私のアドバイスを聴きに来た。徐々に彼女のファッションにも変化が出てきた。最初、聡明で真面目そうな印象が強かった彼女だが、大人っぽい雰囲気と云うか、女性的な華やかさが出て来ていた。ところが或る日、深刻そうな表情で彼女は現れた。そこで初めて彼女の父親が病院長であったことを知った。その父親が急死し、病院そのものも閉鎖が決まったという。卒業後は父親の病院で勤務するつもりだった彼女にはショックが大きかったようだ。しかも莫大な借金があり、送金も急きょストップしてしまうと云うのだ。学生として優秀である彼女が、あと1年を残して辞めるのはもったいない。ちゃんと卒業した方が良いと私は励ました。

私はその時、或ることを見逃していた。莫大な借金が彼女にも影を落とし、学生を続けるなら或る種の覚悟が必要だったと云うことを

…。それから三年ほどが経過した。突如、彼女が私の前に現れた時、私にはそれがAさんであるとは分からなかった。記された名前を見て初めて気付いたのだ。そのくらい彼女は変貌していた。まず髪が美しい金髪に変わっていた。金髪の前髪を目の手前までおかっぱにし、後ろをポニーテールにして、スパンコールのノースリーブとオレンジの極端なミニスカートで決めていた。元々、洋風の顔立ちをしていた彼女は金髪にすると外人風に見える。実際、ハーフの女性が訪ねてきたのかと思ったくらいだ。そして、その姿はどう見ても医療学生や看護師のそれではなかった。「先生、驚いたでしょう」それが、開口一番の言葉だった。化粧のせいだけではないかもしれない大き過ぎる眼は誇らしげに笑っていた。「風俗になったの?」彼女は大きく頷くと「今度、写真集とビデオも出る予定なの。今、東京に居るから…今度、来たとき持ってきてあげる」多分、彼女は懐かしさで立ち寄っただけなのに違いない。恵まれた現在の生活に後悔はないようだった。

ところが、話はこれで終わりではない。それから二年ほど経って、或る日、私の元に電話鑑定を依頼してきた女性は、どこかおかしかった。何がと云われると困るのだが、言葉のテンポ、会話のろれつ、話の筋道に、薬物特有の危うさが感じられるのだ。偽名を使ったが、声と云うのは記憶に残っている。最初、分からなかったが、話している内に彼女だと気付いたのだ。危険だと私は思った。彼女は元々が薬物の扱いに慣れている。そういう人が薬物に溺れると深みにはまり易いのだ。彼女の薬物とは、多分、私の勘では覚せい剤の方だ。私はそれとなく、今なら引き返せると忠告した。「私が誰だか分かってるの?」「もちろん」「…もう遅いわ…」「いや、遅くない」「…ダメなの」「なぜ?」「……」電話はそのまま切られた。

その後、彼女が顔を見せたこともなく、電話してきたこともない。今、どうしているか私は知らない。ただ、彼女が薬物から立ち直る日々が来ることだけを願っている。

「ex-module-past-post-list-01.php」出力:single-post用の過去記事ループ処理

過去の記事一覧素顔のひとり言

  • 「大谷選手の故障」と「株価予測」が見事的中‼

    早いもので今年も“雪景色”の季節となった。そこで、今年一年の「波木星龍の占い予言」を振り返ることにする。私は別に、有名人の予言とか、社会的な予言とか、本当はそんなことはどうでも良い 続きを読む

  • 波木星龍の公的な「予言の的中率」

    占い師の評価というのは、必ずしも“的中率”にあるわけではないが、そうは言っても“どの程度的中しているのか”は、その評価の重要なポイントであるには違いない。よく“口コミ”と言われる“ 続きを読む

  • 自らが創り出す「未来」

    占星学や推命学の研究者の中には“先天的な運命”を動かしがたいものとして、本人の“意志”とか“選択”とか“努力”などを認めないような判断の仕方をされている方が多い。私自身も占星学や推 続きを読む

  • あまりにもお粗末な「ツタンカーメン」番組

    こういう番組をどう捉えれば良いのだろう。制作サイドは日本の視聴者をあまりにも軽んじすぎているのではないだろうか。7月18日のTBS古代エジプト世紀の大発見プロジェクト「ツタンカーメ 続きを読む

  • 日進月歩で「後退していく」占いの世界

    世の中、日進月歩で進んでいくものが多い中で、まるで“後退りしている”ような世界が「占いの世界」だといってもよい。どうして後退りなのか、ここ20年ほど「新たな研究」「新たな学説」「新 続きを読む

  • 人は“さまよいながら”生きていく

    人間社会は「勘違い」で成り立っている。例えば、私は“書きもの”などでは何でも明確に“ズバズバ書く”ので、現実にもさぞかし「即断即決の人」「迷いのない人」「怖い人」であるかのよう誤解 続きを読む

  • 「パスワード」という魔物

    私は元々が“IT型の人間”ではないので、日頃から“IT関連のもの”は苦手である。その中でも一番厄介なのが「パスワード」で、あらゆる場合にこの部分で躓いてしまう。何故、もう少し簡単に 続きを読む

  • 占い依頼者との「距離」について

    当然のことながら、占い師は常に何らかの悩みや問題を抱えた相談者や依頼者と相対して仕事を行っている。初めての依頼者もいるが、その多くは過去に“占っている方”で、いわば“常連さん”に属 続きを読む

  • 「使命感」の持っている美しさ

    どのような世界であっても「使命感」の中で生きている人達は、それぞれに“美しい”ものです。もちろん、これは外見的なことではなくて、“生き方としての美しさ”です。その人なりが滲み出てく 続きを読む

  • 日本人であるということ

    今年は正月から週刊誌が飛びつきそうな話題やネタが矢継ぎ早に飛び出している。「ベッキー不倫騒動」があり「スマップ独立失敗」があり「甘利金銭疑惑」があり「宮崎育児不倫」があり「清原覚せ 続きを読む