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過去の占いコラム

素顔のひとり言(エッセイ集)


30代の処女・童貞増加と結婚の縁


雑誌の或るデータ記事に、私の目が止まった。意外な数字を見て、驚きを隠せないと同時に、なるほどと妙に頷く部分もあったからだ。

普段、比較的30代の男女から恋愛・結婚に関して相談を受ける機会の多い私は、そのデータ記事が示唆する未来を考え、占いと云うものをもっと別な形で活用すべき時代に入ってきたような気がしたのだ。

それは「人口問題研究所」と云う公的機関が調査したデータなので、多分信用できるのだろうが、近年、未婚者の処女や童貞の比率が高まっていると云うのだ。調査対象は30歳~34歳の独身男女で、20年前から年を追うごとの比較が公開されている。

たとえば2005年のデータでは、30代独身女性の26.7%が処女であり、同じく独身男性の24.3%が童貞であると云う。女性に関しては必ずしも処女率が増加しているわけではないが、男性の方は微妙に増加傾向にある。その結果として男女共あまり差のない比率となってきている。

これを1992年と比較すると、その当時男性の童貞率は22.7%、女性の処女率は40.9%なので、明らかに男女差があった。わかりやすく言えば、その当時は独身女性10人のうち4人は処女だったのに対し、男性は10人のうち2人しか童貞ではなかった。それが現在では、どちらも4人に1人の割で処女・童貞が存在し、考えようによっては4組に1組の30代新婚カップルが、処女・童貞のまま初夜を迎えることができる(?)時代になったと云える。

これをどう捉えるかは難しいところだが、少なくともことセックスにおいては、ある意味で男女平等の時代がやってきた、と云えるだろう。多分、1992年以降において、日本女性の貞操観念はやや薄れ、その代わりのように男性の方の性衝動が薄れていったのかもしれない。なぜなら男性の場合、性風俗でもセックス処理は出来るのだから、本当に性衝動が強ければ、そういう場を借りてでも性体験は出来る。にもかかわらず女性と同じような比率となっていることは注目すべき事実であろう。

そういう点を考慮するなら、むしろこのデータは、女性の貞操観念が薄れたと云うよりも、積極的に性体験を試みようとする未婚女性が増えたと云うべきなのかもしれない。それと同時に、未婚であっても、既婚者と同じようにセックスライフを謳歌しようとする意識の表れとも云えるだろう。

しかし、その一方で30代未婚男女のうち、4人に1人は、その後も初体験のチャンスを得られない可能性が強いことをも浮き彫りにしている。ある程度の年齢になってしまうと、本格的な恋愛か、結婚でもしない限り、セックスに対して臆病になる。特に女性は年齢とともに体形が崩れてきたり、自分の裸と云うものに自信がなくなってくるので、余計セックスに対し消極的になる。と同時に、奇妙なことに年齢が進むにつれて男性への警戒心も強まっていく。加えて精神的にも、本格的な恋愛がなかなかできない。「セックス」や「結婚」が足かせになって、恋愛対象として男性と純粋に向き合うことができにくいからだ。

男性の方はと云うと、ある程度の年齢になってしまうと抑制心が働き、セックス対象として身近な女性を意識することも減って、本格的な恋愛か、結婚を意識したときのみ、性衝動が生まれることになる。いや、実際には日常の中で性衝動が生じることはあるのだが、童貞ゆえの自信のなさが、積極的行動を阻むとか、慣れたオナニーで済ましてしまうことになる。

こうして30代以降の処女・童貞の確率は今後も増えていく。セックスの初体験は、十代半ばから二十代前半にかけてが圧倒的に多く、それ以降になると急激に減っていく。ところが近年、韓国ドラマなどの影響で「純愛」と云うことが再び脚光を浴び、若い人たちの間でもセックスに対して慎重な人たちが増えて来ているからだ。多分、一時期セックスが低年齢化しすぎたことへの反動も出て来ているのであろう。

先日、TVを見ていたら、中国の「一人っ子政策世代」の親子が出ていて、そういう世代の男女はなかなか結婚したがらなくなってきているそうだ。つまり、両親から溺愛され、居心地が良いからだ。当然、これは日本にも当てはまるだろう。「結婚を求めない時代」が、もうすぐそこまで来ているのだ。特に、女性が今よりもセックスライフに対して積極的になって、処女率が低下し、逆に男性側の童貞率が高まっていった場合「恋愛の出逢い」や「恋愛の相性」や「結婚の年時や有無」を教えるよりも、「処女や童貞をささげるのにふさわしい時期」とか「セックスにふさわしい相手」とか「快適なセックスライフを過ごす方法」などが、占いの研究テーマとして求められる時代へと進んでいくのかもしれない。

もっとも、幸福な結婚を追い求めながら、それを実現できないでいる男女の多くは、セックスよりも精神的な安らぎを、第一に相手を択び続けていることは間違いがない。たとえ時代がすすみ、処女や童貞の比率に変化があったとしても、占いが必要とされる第一の要素はどこまでも「こころ」なのだ。

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