11月, 2017年

「格安料金」という魔物

2017-11-07

格安旅行会社「てるみくらぶ」が経営破たんして半年以上が経つ。11月6日、その“債権者集会”が開かれた。約9万人の債権者で約100億円の金額。社長である山田千賀子社長はマスク姿で現れ涙ながらに謝罪したが、返金の見通しは立っていないようだ。怒号が飛び交ったというが、怒号でお金は戻らない。何しろ、粉飾決算を何年も続けて乗り切っていたのだ。確かに「てるみくらぶ」の広告は魅力的だった。間違いなく格安だった。私はいつも豪華客船で巡る「地中海ツアー」の広告を眺めて、申し込みたい誘惑にかられたものだ。今になってみると、申し込まずに良かった、ということになるが、私は金額だけに惹かれたわけではない。巡るコースとしても中々魅力的だったのだ。したがって、そういう点では企画力のある方が社員にはいたということだ。現在は、さまざまな旅行会社が“格安”を謳い、“特別コース”を強調する。それぞれの旅行会社が“企画力”と“料金”とで激しいバトルを繰り広げている。結果として“赤字になるコース”も出て来ることがあるに違いない。インターネットが普及した現在、旅行会社と個人のネット検索とで、ほとんど大きな違いは見られなくなった。異なるのは、添乗員が付くとか、団体割引が利くところがあるとか、万一の時に各種対応してくれるとかの違いだけと言っても良い。ただ「旅行」のような商品は、飲食物などと異なり“安ければ良い”というものではない。特に海外旅行には“安心・安全”は重要なポイントとなる。格安というのは、そこに疑問符が付く。最近は、なんでもネットで購入するケースが増えてきているが、購入したい商品を検索すると、必ず「格安」という金額から提示される。検索のシステム上で仕方がないのかもしれないが、時にはそれが“邪魔”になる。商品によっては“格安”ではなく、ちゃんとした“本物”や“正規品”や“高級品”が欲しいこともある。占いなどでもそうだが、あまりにも“安い”のは何らかの理由があるからで、危険な場合も多い。ただ“企画”や“キャンペーン”や“イベント”などで、われわれも“無料鑑定”を行うことがある。但し、それはあくまで“そういう時”だからで、“商売”である以上、きちんと正規の料金を提示し、それに即して仕事を行う形こそ“正業”の正しい在り方なのだ。

「翳り」ある“生き方”

2017-11-06

俳優・高倉健氏が亡くなって3年が経過した。多くの俳優から尊敬されていた俳優だが、その私生活は“謎”に満ちていた。その“謎”の部分を追求したノンフィクションが『高倉健 七つの顔を隠し続けた男』(森功著)である。私個人は、正直、あまり好みの俳優ではなかったが、ただ彼が持つ独特の「翳り」には興味があった。人間が持つ個々の“雰囲気”というのは、長い歳月の中で形成されていく。けっして数ヶ月とか一年とかで“形作られる”ものではない。彼には、どこかに“消しようのない翳り”があった。人間の“翳り”は、その人を“斜め横”から見た時に、一番はっきりと出る。なぜだろう…と、いつも思った。彼が歌手の江利チエミさんと結婚し、その後に金銭問題などが起き、離婚し、あっという間に亡くなって、その元妻への“何か”がそうさせているのだろうか…とも思った。ただ、それだけではない気もしていた。それらに関して、この本は、或る程度の答えを与えてくれる。彼は高校ではボクシングを習い、大学では相撲部に入って、夜は渋谷で酒とケンカの日々を過ごしていたらしい。そうして暴力団「住吉会」の幹部に気に入られ、その運転手として勤めていた時代があり、彼らの元で“居候”をしていた時期もあったらしい。ナルホド彼の“らしさ”には、経験が持つ重みがあったのだ。しかし、この本は、そこに重点を置いているのではない。高倉健氏は亡くなる直前に養女を得ていた。「小田貴」という女性だ。元大部屋女優でホテルジャーナリストをしていた過去を持つ。彼女こそ40億とも言われる遺産を相続した人物なのだが、高倉健氏の死を実妹にも知らせず、二日後には火葬し、遺言ということで“散骨”した。実妹は分骨を望んだが、それもならなかった。元妻・江利チエミの墓、彼女が身ごもった水子の墓は、彼の死後に撤去されてしまった。家屋敷もそうであり、多数の車やクルーザーまで処分してしまった。「高倉健」そのものの“痕跡”を遺すまいとするかのように、次々と処分していった。養女との出逢いは90年代の香港のホテルらしいが、その後の二十数年を共に過ごした女性なのに違いない。著者は、彼女が“養女”であるのは、放映権なども自らが取り仕切りたかったからだと述べているが、私はそうは思わない。多分、高倉健氏は元妻・江利チエミさんが亡くなった時、もう結婚だけはすまい、と心に誓ったのだ。そして、律儀にそれを守ろうとした。けれども、新しい同棲女性はそれが許せなかったのだ。“死”が近くなって、“養女”の権利だけは強引に手に入れたに違いない。多くの映画でそうであったように、近づく女性を“幸せに出来ないまま”逝ってしまったのだ。

関西圏から「町工場」が消えていく

2017-11-05

関西圏には中小企業・零細企業が多い。日本を代表するIT企業や技術系企業の多くが関西圏に本社や主要工場を持っていて、その下請け企業や関連企業が多いからだ。その関西圏で2025年までに中小・零細企業の廃業が進み、100万人以上の雇用が失われ、4兆円以上の経済損失が生じることになるとの試算が報告された。これは関西圏だけではないが、中小・零細の“町工場的な企業”はどこも、後継者不足に頭を抱えている。妙な表現だが、大手の下請けとなっている“昔からの企業”が、総体的に赤字を抱えている、或いはギリギリのところで存続している。そういう企業の子供たちは“後継者”になることを嫌って、新たな就職先を見つけようとする。親の苦労を間近で見ているので“後継者”になりたがらないのだ。IT関連企業等というと、最新のビル社屋を連想しやすいが、実際にはシャッター街の“町工場”で、その部品の一部のみを作っているところも多い。現在、日本の大手企業は“大幅増益”とか“収益拡大”とか言われているが、それはあくまで大企業の話で、昔ながらの“零細企業”や“町工場”は四苦八苦のところが多い。だから日本全体で見ると、少しも景気が良くなっているようには見えないのである。前にもちょっと述べたことがあるが、人間にも“寿命”があるように企業にも“寿命”がある。稀に“何百年も生き延びている”長命な企業もあるが、そういうのは稀であって、多くの場合は人間と同じように百歳近くが限界なのだ。だから、二代目、三代目くらいまでがせいぜいなのだ。但し、同じ企業でも経営者が“血縁の無い者”へとバトンタッチされ、企業名などを変更している場合は別となる。そういう形で上手くバトンタッチできれば、企業の“生命”は存続していく。したがって、近年、企業買収とか企業合併が多いが、そうやって“新たな生命”に転換できれば、再び、企業としてのエネルギーが生まれることになる。そういう意味では創業から何十年も経ち、創業者も亡くなり、四苦八苦で経営を続けている零細企業に“吸収合併”の話が来たなら、喜んで応じた方が“生命”は蘇るのだと憶えていて欲しい。

「死」を招く結婚!

2017-11-04

時々「日本は平和で良いなあ」と、改めて思うことがある。戦争に突入していなくても“怖い国”のニュースが時々飛び込んでくるからだ。パキスタンは、そういう国の代表的なところの一つだ。11月1日にも“毒殺事件”が起こった。結婚してまだ2カ月の夫婦の間に起きた悲劇だ。この“毒殺事件”が悲劇だったのは、直接関係の無い多数の人たちまで巻き込んでしまったことだ。つまり、親戚などの27人だ。そして結果的に17人が亡くなった。残り10人も重体が続いている。どうしてそんなに亡くなってしまったのかというと、毒殺されるはずだった新婚の夫が“毒入りミルク”を呑まなかったからだ。新婚の妻は“毒殺”に失敗したのだ。ところが、そのままにしておいたミルクを利用して、夫の母親が何も知らずに“ラッシー”をつくり、親戚のみんなに振舞ったのだ。さあ、大変。バタバタと昏睡状態に陥ってしまった。夫のお母さんは、結果だけからいうと、新婚の嫁が計画した“殺人”の片棒を担いでしまった…ということになる。ところで、何故、その嫁は夫を殺そうとしたのか。その夫との結婚が“死ぬほど嫌だった”からである。パキスタンでは、親の言うことは絶対で、親が決めた“縁談”は、どんなに本人が拒否しても強引に結婚させられてしまう。わが日本でも大正時代までは、そういうことが実際にあった。この嫁には前から“好きな相手”がいたのだ。その相手とは、結婚後も続いていた。そして彼から「毒殺すれば良い」と“毒”を手渡された。もちろん、嫁は夫だけを殺すつもりだったのだが、予期せぬ形で、黙っていても離婚は成立する結果となった。実は、同じパキスタンの同じ州で、昨日、一人の女性が亡くなった。先月、以前付き合っていた男性から求婚され、断ったところ、いきなりガソリンを掛けられて火をつけられ、全身やけどで入院していた20歳の女性が感染症を併発して死亡したのだ。また三カ月前には、自撮り写真をSNSで公開して賛否両論を巻き起こしていた女性が、その実兄によって絞殺された。社会のタブーに挑戦したことが“保守派の人達”から非難され、それに応じた実兄が、自らの家系のために「名誉殺人」という暴挙に出たのだ。どれもこれもがやりきれない。お前ら「プライドの塊」すぎないか…。

未知の空間から「彫像」が出現?

2017-11-03

英科学誌『ネイチャー』の最新号に、日本の名古屋大など国際チームの研究成果「大ピラミッドに未知の空間発見」のレポートが掲載される。俗に「クフ王のピラミッド」とされている“ギザの大ピラミッド”だが、未だ“謎”の部分が大きい。その解決の一つの試みとして今回行われたのが、国際チームによる“大ピラミッド内部の透視探求”である。どうやって“透視”するのかというと、宇宙から飛来する“ミュー粒子”と呼ばれる放射線の一種を使って、立体的に内部を透視できるのだ。その結果、大ピラミッドには、現在の「大回廊」と呼ばれている空間通路から20メートルを超える上部領域に全長30メートルの“明らかな空洞”が存在していることが判った。そのスキャンされた写真によると、大体「大回廊」に平行する形で斜めに存在している。エジプト考古学の河江研究員は「王の埋葬室の可能性もある」と言っているが、これは多分“リップサービス”で、古代エジプト人の性質から言って“埋葬室”をこういう形にするとは思えない。但し、その形状や長さから言って「第二の大回廊」として制作していた可能性は大きい。そうだとすれば「本来の大回廊」と“同様形式”にするのが古代エジプト人のやり方である。それでは「本来の大回廊」はどういうものだったのかというと、いま一つ判然とはしていない。但し、大回廊の上部には明らかに壁面を完成後になって潰して行った部分があり、そこには連続してヒエログリフ(聖刻文字)がレリーフされていたのではないかとも言われている。おそらくは歴代王名のレリーフである。そして、その下には何かを刳り抜いた跡が続いていて、これはおそらく彫像をはめ込むための凸ではないか、と考えられている。つまり、大回廊の左右には向き合う形で“歴代の神王達”が立ち並ぶ構造ではなかったか、と推測されている。したがって、もしも、私が考えるように「第二の大回廊」なら、同じような構造になっているはずで、何らかの理由から“もう一つの大回廊”が必要で、それを平行して30メートルに渡って組み入れたのだと思われる。この推論が正しければ、内部には“歴代の神王達”が彫像として立ち並び、その上部には各王名がレリーフされている。果たして、われわれは無傷の「大回廊」を見ることが出来るのであろうか。

「努力」で“得られるもの”&“得られないもの”

2017-11-02

アメリカのBBCが選ぶ「100人の女性」の一人として、今年9月に現役引退を表明したテニスの伊達公子選手が選出されている。彼女への評価はプロテニス選手としてアジア初の“トップ10入り”が一番の理由なのだが、それ以上に大きく評価されているのが、25歳で一度“現役引退”をし、その12年後・37歳にして“現役復帰”してから今年9月まで10年間もプレイし“50位以内”に食い込む記録を打ち立てたことだ。けれども、こういう履歴的なこととは別に、彼女が教えてくれる“大切な言葉”がある。「テニスは努力すれば結果が出るけど、努力しても得られないものがある」彼女は25歳で“現役引退”した後に結婚した。それは母親と同じような“専業主婦”を夢見ていた彼女の理想の姿だった。けれども、彼女は、元夫と共に努力をしたが子供を得られなかった。幼い頃から、ずっと子供が欲しかったのだ。不妊治療を何度も試みたが、得られなかった。テニスでの練習のように何度も試みたが得られなかった。彼女が“現役”を辞めた一番の理由は“テニスが嫌い”になったからだった。勝つのが当たり前、世界ランク4位まで上り詰めた彼女には、常に“勝つこと”が要求され、テニスが楽しめなくなった。だから25歳で、その時には“何の未練もなく”やめることが出来たのだ。そうして、専業主婦になれた時、彼女自身は“もっとも輝いて”いた。けれども、妊娠・出産は、テニスの練習とは違った。手応えがなかったのだ。どんなに努力しても、虚しさだけが通り過ぎて行った。だから、嫌いになったはずのテニスが“我が子”のように手招きしているのに気付いたのだ。そして37歳で“現役復帰”し、40歳で再び50位以内に食い込むことが出来た。何よりも、テニスをするということが順位などに関係なく楽しくて仕方がなかった。人は、表面上のことだけで、その人の人生を推し量りがちである。けれども、履歴には載らない“本当の人生”が、ここにある。

「おしごと」としての殺人?

2017-11-01

最初は“普通の殺人事件”だと思っていた。けれども、だんだん明らかになって来るにつれて、どうもこれは「おしごと」の臭いがするなあ…と感じられてきた。そうでなければ、クーラーボックス3つ、大型収納箱5つも用意しないような気がするのだ。神奈川県座間市で起きた殺人遺棄事件である。容疑者・白石隆浩は、悪質スカウトマンとして知られている人物だったらしい。行方不明になった女性の身内から捜索願が出たことで容疑者・白石の居住するアパートが家宅捜索され男女9名にも及ぶ遺体の一部が発見された。しかも、個々の遺体は“部位ごと”処理されている。そしてクーラーボックスなどで保管していたのだ。「臓器などは捨てた」と言っているらしいのだが、その辺は怪しい。殺人の目的が“お金”であることを告白しているからだ。「自殺サイト」で知り合っての犯行らしいので、元々“殺害行為”そのものは比較的容易だったと思われる。つまり、荒々しい“殺し方”をしなくても、可能なはずなのだ。そうした場合、すぐに遺体を解体することが出来れば「臓器」などを売れるのだ。父親が早く部屋を借りたがっていたということで、当然、“目的”を知っていた可能性がある。それにしても、約2か月間の間に9名もの男女を殺害して、すぐに解体、部位ごと分けてクーラーボックスに保存する。どう考えても尋常な神経ではない。解体作業は浴室だったというから、そのために“借りた部屋”としか言いようがない。実は興味深い資料がある。闇市相場というものがあって、そこで「臓器」は売買される。その中で最も高価なのは「腎臓」で2096万円もする。次が「肝臓」の1256万円、次が「心臓」の952万円と続く。もし、日本にも“闇業者”というのがいるなら、確かに「おしごと」として成立する市場を持っていることになる。殺された人々が、それを知っていたかどうか定かではないが、もしも、どうしても自殺したいという気持ちになって、せめて“自分の臓器を役立てたい”という気持ちになったとしたら、今回の“通報”がなければ、完全なる「おしごと」として、どちらの方々にも感謝されながら続いたのだろうか?

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