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過去の占いコラム

素顔のひとり言(エッセイ集)


回転する人々


タロットの「占いコンテンツ用」原稿を書き出してずいぶん経った。まだ完成していないが、ただ一つの原稿に対して、こんなに長く取り組んだのは久しぶりのことだ。通常の原稿の十倍くらいのボリュームだから仕方がないが、長くなって来るとだんだん面倒臭くなってきて放り出したい気分に襲われる。大体、これだけの分量を書いて一体幾らになるというのだろう。もう三ヶ月くらい経つのだから、本来なら何十万かにならなければ元が取れたとは言えないが、たぶん、数万にしかならないだろう。それでも根気良く書き続けて来れたのは、やはり一種の使命感かもしれない。

私は最近、自分が亡くなってからのことを時々考える。自分が亡くなっても、価値あるオンライン占いとして残り続けるもの、悩める人たちにとって役に立ち続けられるもの、半永久的に利用可能で何年経っても色あせることがないもの、個々の悩みに対して現実的に応えられるもの…最近は特にそういう意識で原稿を書くようになった。なぜだろう。

ひとつには、時代と云うものに振り回されない「占い」を確立したいからだ。最近のオンラインやモバイル、あるいはTVや雑誌の占いを見ていると、時代と云うものをリードしようとして、逆に時代に振り回されている占いがあまりにも多い。もちろんそれは占いに限ったことではないのだが、占いまでもがそうあることに私は違和感を覚える。

たとえばオンライン占いの場合、多くのサイトは占い師(回答者)側から設問を発し、ユーザー側がその設問の通りに占いを求め、それに対して回答する仕組みとなっている。これは本来おかしなことで、個々の悩みや相談事と云うのは、千差万別で同じ枠ではくくれないし、その人によってはお門違いとも云うべき設問となるケースも多いと思われるのだ。

本来、占いの設問(悩みや相談事)はユーザー側から発するのが本来の姿なはずだ。ところが、それが千差万別だから、結局多くの女性たちに共通項のような設問が繰り返し使われることになる。

その結果、占いメニューとしての設問のみ増えて、いずれも似たような設問ばかりで、どのサイトでも共通していて、やがてユーザーたちが飽きてゆく…というパターンなのだ。私はこの形式を本来の形に戻したかった。つまり、設問(悩みや相談事)を提出するのはユーザー側で、それを受ける形で占い師(コンテンツ)側が回答する、というパターンにだ。そのためには、占いメニューの在り方を変えなければならない。私が占いコンテンツの会社に主張したのは「使い捨てメニュー」ではなく、何度でも使用できるメニューに切り替えたい、ということだった。そのためには、占い期間を限定する必要がある。そうしないと的中させられないからだ。たとえば私の「占い大全」には「今後三日間の恋愛運」というメニュー・設問がある。これは、これまでの占いサイトで使用しがちな具体的な設問ではない。その代わり恋愛に関心を持つ人なら、誰もが知りたい設問の一つといえるだろう。三日間と云う限定つきなら、ある程度具体的な内容で答えることができる。そして様々な個々の具体的設問に応用できるよう記してある。三日間と期間を限定することで、的中率もアップさせることができる。

ところが、最初、私の提案は全く受け入れられなかった。期間を限定すると、売り上げが下がる、と云うのである。それは多分ユーザー側が一般のサイトに慣れていて、新しいメニューが登場したら、その日から三日間と云う風に受け止めるからだ、と私には思われた。私の占いは、あくまでユーザーが占いたいと思った「その日から三日間」と云う意味なのだ。実は、私はこの期間限定メニューを同時に三つアップしてほしいと希望していた。つまり「明日の恋愛運」と「今後三日間の恋愛運」と「今後一週間の恋愛運」の三つだった。同じ形式で「願望運」も加えてほしいと主張した。そうすれば誤解されるようなことはない。ユーザーだって、同じことをいろいろな形で占いたいに違いないのだ。

けれども、この主張は今に至るも通っていない。結局、占いコンテンツ制作会社は占い好みの人たちの心理が解かっていないように思われてならない。

こういう形で提供しておけば、半永久的にその設問は利用できることになる。一度だけの使い捨てメニューとはならないはずなのだ。同じ形式で三ヵ月間ごとのメニューや、一年間ごとのメニューがあって良いはずと私は考えている。実際期間を限定しないと「願望運」などは、的中させるのが難しい。そんなことはちょっと考えてみれば素人の方にだって判るはずではないか。たとえば「明日の願望運」と云うのと「今後一年間における願望運」と云うメニューとでは、当然答えが違ってくるだろう。この場合、設問としては同じ「願望運」でも、ユーザーが実際に意識する願望はそれぞれに違っている。同じ人物であっても、期間が異なれば願望の種類は異なってくるのが普通だ。

だから、私から提供はしていても、実際にはユーザー側が個々の設問を私に投げかけ、それに私が答えるのと結果的に同じなのだ。そして仮に「明日の願望運」という同じ設問でも、今日の願望と一カ月後の願望とでは当然違ってくることだろう。ユーザー側の問いかけが違っていても、それぞれにきちんと回答出来ることが重要なのだ。具体的に的中出来ることが大切なのだ。

そういう占いであれば、時代に振り回されることもなく、派手な人気は出ないかもしれないが、半永久的に使用可能な占いとしてオンライン占いの中で利用され続けることができるはずと信じたい。

タロットの秘教的な意味の中に「回転する人々」と云うのがある。確かにタロットは回転させながら混ぜ合わせていく。当然タロットに描かれた人々も回転し続ける。我々は地球という回転する惑星の中で生きている。そういう意味では、黙っていても地球人はみんな回転している仲間たちなのだ。

星占いにしても、易占いにしても、今から3000年前以上昔の占い方法をそのまま継承し続けている。新しさなど本当はないのだ。オンラインやモバイルだからと云って、新しがる必要がどこにあるのだろう。逆に、何万、何十万、何百万、何千万人の検証を経て生き延びてきた占いこそ、価値があるとは言えないだろうか。

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