「世界同時株安」と云う言葉が、新聞紙上やTV画面に躍っている。これまでアメリカや日本の株価下落に対して、どちらかと云うと無関心を装って来た日本の一般マスメディアも、ここに来てにわかに「株価下落」をニュースとして扱い出した。大幅な株価下落が日本の実体経済にも波及し始めることにやっと気付いたからだろう。気付くのが遅すぎる。
原油や食品原材料の値上がりを伝える前に、株価下落を深刻に受け止めなければならなかったのだ。ところがここに至っても日本の総理は「日本だけのことじゃないでしょ」と他人事のようだ。我が国のトップは、何と経済に対して鈍感なのだろう。本来なら、その点を鋭く指摘しなければならない立場の民主党の鳩山氏は自身の株の損失に「(弟は)余計なことを云う」とまで言った。まるで「政治家は株のことを話題としてはならないのに…」と言いたげでさえあった。こういう人たちが日本の舵取りをしている。
ここまで読んで来て、何が問題なのか、と思う人がいるかもしれない。日本の株価下落は、実は世界各国の株価下落と同一ではない。日本固有の様々な問題を抱えての下落なのだ。だから問題なのだ。一番の問題は「円高への危険性」である。アメリカと日本の株価は、日本の株価を「ドル換算」したときに相似形となる。驚くほど相似形となる。ここに問題がある。つまり円高になると、たとえアメリカの株価が上向いても日本の株価にそれが反映されなくなるのだ。つまり日本の株価だけは上がらない、と云う現象が起こる。次にアメリカは株価対策として緊急利下げを行った。今後の追加利下げも有り得る。ところが日本は利下げしなかった。と云うよりも利下げできなかった。両国の間に「金利格差」があると、日本の株には有利に働く。つまり格差分だけ買われやすくなる。それが縮まると売られやすくなる。したがって、今後ますます縮まっていくとアメリカ株が上昇しても日本株が上がらない原因を作る。
日本株の売買は外国人によって成り立っている。その半数以上が外国人の売買だからだ。ところが日本株は他の国に比べ税率が高く、規制が多く、株主還元もあまり良くない。外国人達は、日本の株が上昇する見込みがなければ、日本株から手を引く。外国人に買ってもらわないと、日本株は上がらないようにできているのだ。いや外国人だけではない。日本の個人投資家だって、日本株が長期低迷し、上がる要素が見当たらなければ、他の国の株に切り替えていくのは目に見えている。これまでは新興国の株は購入しにくかった。そのせいもあって個人投資家は滅多に手出しをしなかった。ところがここに来て新興国投信が増え、誰でも簡単に買える状態へと変わった。そこでまだ投資余力が残されている人は、動きの大きい新興国株の方へと移っていく。
もっとも株と云うのは、元々が企業業績と連動しているのだから、日本株も企業業績さえ現状を保てるなら、いずれ株価は元に戻る、と考えるのが投資家心理ではある。だから、自分が所有している株が長期低迷していても、半ばあきらめ顔で売り渋っている零細投資家は多い。
ところが円高や原材料の高騰が進むと、そうもいかなくなってくるのだ。海外依存型の輸出企業には想定レイトと云うものがあって、それにそって企業収益を予測し、各期ごと公表している。したがって円高が進むと多くの企業は予測データに修正が生じる。売上高は変わらなくても、実際の利益は縮小してしまうからだ。自動車産業やハイテク、造船産業などが為替変動リスクを抱えやすい。さらにアメリカ依存型の企業の場合、アメリカの景気が下振れすると来期見通しの修正を迫られるケースも多い。加えて景気の下振れは、原材料費は上がっても、おいそれとそれを価格に転換できない状況を招く。その点からも実際の収益が縮小していく。その結果として、企業が公表していた来期業績は何度も下方修正を繰り返すこととなる。
株価と云うのは、半年先以降の企業業績を先行する形で形成されていくものなので、先の「企業業績さえ現状を保てるなら…」と云う大前提が狂ってくるのだ。内需依存型の企業はどうかと云うと、日本の大手企業はほとんどが外需を含んでいるので、投資や消費が落ち込むことになって、実際には独自に繁栄するというのは極めて難しい。結局、アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく、と云う図式は正しい。
このような点から日本経済は崖っぷちに追い込まれている。日本の経済が、全体的に上向いていくなら、多少の格差社会も受け入れられるかもしれない。けれども、物価が徐々に上がり始めた一方で、日本の大手企業収益にも陰りが見え始めた今、格差社会は許されるものではなくなった。ともかく待ったなしの救済策が必要なのだ。ところが、前にも述べたが我が国の舵取り役である福田首相や小沢党首は、ともに経済政策に対しては保守的で、株価に対して他人事でしかない。外国人達が日本株を全く買わなくなったらどうなるのか、日本では大多数を占める個人の零細投資家たちが日本株から撤退したならどうなるのか、考えようともしていない。だから日本固有の手を打たないのだ。
確かにガソリン税や年金問題も待ったなしではある。けれども、それらで日本経済が根底から底上げされることはない。元々あったお金だからだ。株価の上下は、日本全体の収益を上下する。極端なことを言うなら、株価が二倍になるなら、ガソリン税だって不要になるのだ。年金だって、もっと多く捻出できるのだ。だから重要な問題なのである。
このところ世界のマネーは、それぞれの通貨の枠を飛び越えて一つに固まる傾向が顕著となっている。どういうことかと云うと、例えば日本株が上がるとみればそこに投資資金がどっと集まり、中国株が上がるとみればそこに投資資金がどっと集まり、アメリカの住宅が上がるとみればそこに投資資金がどっと集まり、ドバイ原油が上がるとみればそこに投資資金がどっと集まり、世界のマネーが一極集中する傾向が顕著となってきているのだ。だから原油も20ドル台だったものが100ドルまで一気に駆け上がった。儲かるとみれば世界中の投資資金がそこに集中するからだ。こうしていつの間にか、世界の投資資金は通貨の枠を超えて一体化し「巨大マネー」として地球上を龍の如くうねりながら彷徨いつづけている。
ところがここに来て、この「巨大マネー」としての妖しい龍が行き場を失い始めている。アメリカ住宅が崩れて、アメリカ・日本・欧州・中国・インド株が総崩れとなり、ドバイ原油までが崩れ始めたからだ。一見、原油から投資資金が引き揚げられるのは良いことのように思える。ところが、次の投資対象が見つかっていないのだ。これを早急に見つけ出さないと「巨大マネー」がもがき始める。そうなると、どうなるのかと云うと「世界的な大不況」へと移行していく可能性が高まる。その意味では、一刻も早く次の飛翔の場を見つけ出さなければならないのだ。
掲載日:2008年02月03日
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