老後30年で“2000万円が不足になる”という金融庁の試算が問題になっている。このところ将来とか未来に対してのさまざまな「予測・試算・データ」が色々な形で調査・公表されることが多い。大体、日本では、どれも将来的な予測で“明るい未来”を示すものはなく、そのほとんどは“不安な未来”にしかならない。それは、或る意味当然で“現在の日本”というものを土台として、データを紡ぎ出していくからである。ところが、個人でもそうなのだが、“現在”というものを土台にして未来の人生を論理的に推し量っていくと、だいだいは外れることになる。現在から1~2年先の出来事まではだいたい予測に近い現象が出て来ても、5~6年先、10年先、20年先…と未来に進むほど、距離が隔たっていけばいくほど、論理的な予測通りの世界とはかけ離れていく。それが人生であり、だからこそ人生は面白く、不思議なものなのだ。だから金融庁の試算など、どんなに頑張ったって役に立たない。元々そういう風に出来ているのだ。それが証拠に、すべて計画通りに「人生を歩んでいる」という人がいるなら、出て来てもらいたい。仮に、計画通りに人生を歩めるとしよう。そうすると人生は楽しいだろうか。丁度、脚本に書かれてあることを、そのまま演じていく“役者のような人生”となるわけだが、それで幸せを感じられるだろうか。おそらく、これほど“つまらない人生”はない。仮に、それが“素晴らしい人生”で、悩み事など何一つない将来だったとしても、それで満足だろうか。もし、あなたが“人生の脚本家”なら、少しぐらいは困らせるシーン、悩ませるシーンを付け加えようとするだろう。意地の悪い人なら、一度“どん底”に落としてから、這い上がって来る人生を描こうとするに違いない。そうでないと何か“ちっぽけな人生”に思えるからだ。俗にいう「波乱万丈な人生」とまでは行かなくても、少しくらいは「起伏のある人生」にならないと、ドラマとしても面白くない。そのせいかどうか知らないが、なかなか“希望が達成されない”とか、“苦悩から脱出できない”という人々もいる。けれども、自分をドラマの主人公だと思えば、それはそれで“頑張っている自分”で面白い人生と言えるのではないだろうか。だから、人生にあまり「試算」など行ってはならない。特に「論理的な試算」や「経済的な試算」など止めた方が良い。解からない中で“のほほん”と生きていく。或いは逆に“懸命”に生きていく。時には“格闘”しながら生きていく。“無我夢中”で生きていく。そうやって自分なりの“生き方”で人生を乗りきっていく方が、はるかに“幸せな生き方”であると私は思う。しょっちゅう、預金通帳と“にらめっこ”している人がいるが、そういう人が建てた目標額は大体が達成されない。予定通りなら達成されるはずなのに、達成できないのだ。「運命の女神」は、いつも優しく微笑みながら、あなたの“生き方”を見つめている。
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