「日本三大火祭り」と呼ばれるものの一つが1月7日の夜に行われる。一方は福岡・久留米市の大善寺玉垂宮の「鬼夜(おによ)」であり、もう一方は福岡・太宰府市・太宰府天満宮の「鬼すべ」である。奇妙なことに、この二つの“火祭り”は似ているのだが、微妙に違っている。その両方をネット動画で見たが「鬼夜」の方が迫力があり、鬼気迫る“神事”としての趣が感じられる。「鬼夜」では、“火”を“神”と見立てているのは明らかで、その火の粉を浴びることで、その年は“無病息災”で過ごせると信じられている。燃え盛る大たいまつは長さ13メートル、重さ1トン以上で、それを6本(?)並べるのだから、まさに夜空を焦がす“鬼火”ということになる。一方の「鬼すべ」の方は、松明の火を“もののけ=悪霊”とみているようで、それを鎮めるための神事のようである。もしかしたら、この辺は私の勝手な解釈なので、違っているかもしれない。ただ、どちらも大きな燃え盛る松明を“引き回す”という点では共通なのだ。しかも、同じ日に同じ福岡で行われる神事なのだ。「鬼夜」の方は、1600年の伝統行事として、無形民俗文化財にも指定されている。古代中国では「鬼」は「キ」と読まれ、死体をかたどった象形に“賊害”を意味する「ム」を加えて“鬼神”に見立てるケースが多い。日本では「鬼」という文字に対して「かみ」「たま」「もの」「おに」と訓じて、いずれも“死霊世界”に関係のある表現を使った。俗にいう“火の玉”が、霊魂の正体だという捉え方もある。いずれにしろ福岡で行われる“二つの火祭り”は「鬼」を「火」に見立てているのは明らかで、夜空を焦がす炎が“災いを焼き尽くしてくれる”ことを願った“古代の人々の心意気”が伝わった神事といえるだろう。
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