中国の古典的手相術で注目すべき種々相1

a-1のように人差し指、中指、薬指、小指、それぞれの付け根中央付近に向かって縦線が出現している手相を「四直紋(よんちょくもん)」と云います。これは大吉相としていますが、実際、社会的に大成功しているような人に見受けられる相です。時に人差し指方向への線は見られないこともありますが、見受けられる方が、より確実な成功者としての相となります。

a-2のように親指の第一関節、及び第二関節の掌側に、ハッキリとした眼型(島型)が出現するのは、古来「仏眼紋」とか「仏心紋」と呼ばれて、祖先の加護厚くて、窮地に至った時には必ず先祖のからの守護によって、その窮地から脱出できるものです。本人も信心深く、社会福祉的なことに興味を示す相です。また、慈悲心や同情心が大変に厚き人の相でもあります。

a-3のように四指それぞれの肉付きが良く、その第二節間、第三節間に縦の線が三本くらい刻まれているのは「俵紋」と呼ばれます。これは昔の米俵から来ている表現ですが、その名の通り飲食運や経済運に恵まれ、生活に苦労することのない人に見受けられる相です。この場合、指紋がある指先部分には出ていないことが条件で、ここに縦線が出現するのは病相です。

b-1のように掌の下部から、大きく弧を描いて薬指に向かって上昇する線を中国手相では「高扶紋(こうふもん)」と云います。西洋手相術では「太陰丘から上昇する太陽線」となります。 大いに出世する人の相とされ、その点では西洋手相術と一致します。この紋だけでなく、総じて太陽線に関連あるような線に対しては、幸運の相としての手相紋解釈が多いようです。

b-2のように薬指方向へ向かって立つ線が感情線(中国では天紋)を横切っていれば、西洋手相術では太陽線ですが中国手相では「贔屓紋(ひいきもん)」と呼びます。今でも「ご贔屓」と云う言葉があるように人気運、或いは引き立て運とほぼ同義の名称です。そういう意味では西洋でも東洋でも、この線に関してはほとんど同一の解釈を行ってきたことに驚かされます。

b-3のように生命線(中国では地紋)の内側に、生命線とほぼ平行するような形で、何本もの平行線が出現するのは「陰徳紋(いんとくもん)」又は「仁慈紋(じんじもん)」と呼ばれます。いずれも人間的にすぐれている人物を指す言葉で、信仰心強く、陰ひなたなく社会貢献を行っている人物に見受けられる相です。この相は手首寄りに出るのが特徴で、上部には稀です。

b-4のように中指のすぐ下辺りの位置に、やや大き目の十字型や星型が出現するのを「剣難紋」と呼びます。実は中国手相の「剣難紋」には、それ以外の相を指す場合も見受けられるのですが、この相が一番妥当であろうと思われます。もっとも、昔の「剣難」は文字通り剣による災難ですが、現代では銃や刃物、さらには事故も含めて捉えるべきだろうと思われます。

中国の古典的手相術で注目すべき種々相2

c-1のように生命線(中国では地紋)内部に多数の横線が刻まれている相を「色労紋(しきろうもん)」と呼びます。人一倍感受性が強く、やや神経質な点があって、家族や異性に関しての悩み事をしばしば抱えることになりやすい人に見受けられる相です。どちらかと云うと苦労症の人に多い相とも云えます。但し、掌全体に線が多い場合は、多少の横線ならOKです。

c-2のように感情線(中国では天紋)と頭脳線(中国では人紋)の間に、多数の横断線が見受けられるのを「貧心紋」と呼びます。この場合、感情線からの枝線であっても、単なる障害線であっても、頭脳線からの枝線であっても、それは問いません。要するに多数の斜線が両線間にあることが条件です。臆病で、周囲の批評を気に掛けやすい神経質な性質を物語る相です。

c-3のように欧米手相術の方で「ビアラシバ」と呼ばれたり「放縦線」と呼ばれたり「太陰環」と呼ばれる切れ切れの弧線を「遊女紋」又は「大波紋」と呼びます。遊女紋の方は、人差し指の第2節間に格子型として出現する相も含めます。これらは特定の異性、又は性的な遊びに関することから出費・散財していく人の相で、貢ぎ型のタイプにしばしば見受けられる相です。

c-4のように人差し指と中指の間から、薬指と小指の間へと、切れ切れの弧線が続く相を「酒色紋」又は「三日月紋」と呼びます。それぞれ意味は違っていて、酒色紋の方は文字通り酒や異性に溺れていく人の相で、三日月紋の方は学芸優秀で芸術家的素養ある人の相とされています。実際には、その違いは微妙で、むしろ同一相の二つの意味合いと捉える方が妥当です。

d-1のように手首近くで運命線(中国では天喜紋、又は立身紋)が二股に分かれる人の相を「去家紋」と云います。同じような形で生命線(中国では地紋)がその終末で二股に分かれる場合も、この紋に採ります。このような相を持っていれば、いったん親元を離れた場合には、二度と戻ることなく生活していく人の相とされています。大きく二分されることが条件です。

d-2のように欧米手相術で「放縦線」とか「太陰環」とか呼ばれる弧線が、力強く弧を描いて生命線方向に向かっていく相を「出奔紋」と呼びます。古典的な原初には、手首の方から出発して太陰丘(中国では乾宮)へと弧を描くとされているのですが、これは微妙でどちらか見分けにくいので考慮しない方が無難です。とにかく、故郷を出たなら、親元へと戻らない相です。

d-3のように感情線(中国では天紋)の上部に、平行して二重線のような線が刻まれていれば「変業紋」と呼ばれます。欧米手相術で云う「二重感情線」に近い形状です。これは本来の業務以外にも副業的なものを持っていて、そちらの方からも収益を得ていく人の相としています。また、一説に男性であれば養子となって家業を繁盛させる役割を果たす相ともされています。

d-4のように太陽線(中国では贔屓紋、或いは高扶紋)を中心として大きく左右に枝線が分かれて刻まれていく人の相を「三奇紋」や「箒紋」と呼びます。これは中年以降に事業・商売を大きく発展させているような人達にしばしば見受けられる相です。この場合、運命線(中国では立身紋)が主体で枝分かれするケースもありますが、それはやや成功確率が劣るようです。

中国の古典的手相術で注目すべき種々相3

e-1のように生命線(中国では地紋)の下部を起点として、長く小指方向にしっかりした縦線が向かっていくのを「外芸紋」と呼びます。何らかの専門的知識や技術を所有しているケースが多く、それらによって収益を伸ばしていく人の相です。仮に転職をする場合でも、所有している資格や技術が有利に働くケースが多く、経済的には恵まれていく人の相となります。

e-2のように欧米手相術において「結婚線」と呼ばれている小指下の横線に対しては同じように「結婚紋」や「妻妾紋」と云います。中国式の見方は何につけ男性中心で、妻妾紋の内、太い線を本妻とし、細い線を妾(愛人)とします。この場合、本来の結婚線(妻妾紋)に対してごく接近している平行線に限ります。妻妾紋が天紋に触れるのは、一度実家に戻る人の相です。

e-3のように生命線(地紋)の内側に比較的目の荒い印象の格子型が出現するのは「学堂紋」と呼ばれています。目の細かな格子型で、より上部に位置している場合は、フランスの手相術では「淫乱の相」であり、だれかれ見境なく異性に接近する性質を表わしているようです。学堂紋として出現する場合、勉強熱心な人の相となって、あらゆる試験にパスする相です。

e-4のように中指と薬指の股の間から、くっきりとしたチェック状の線が出現しているのを「損失紋」と呼びます。この相に関しては現代の中国手相でも言及していて、運命線(中国では立身紋)の先端が指の股へと流れていく相を「漏財紋」と記述していて、浪費家でお金が貯まらない人の相であると主張しています。損失紋も基本的にはこれと同じで浪費家の相です。

f-1のように手首に近い太陰丘(中国では乾宮)に何本かの斜線が出現するのを「受寵紋(じゅちょうもん)」と云います。目上からの特別な恩恵や引き立てを得て出世が早いのが特徴です。ただし、先祖からの家業は継がない人の相で、仕事や職場も何度か変わっているケースが多いものです。この相は消長が激しく、いつの間にか消えていることも珍しくありません。

f-2のように生命線(地紋)の内部に、やや大き目の四角型が独立して出現するのは「井字紋(せいじもん)」と呼ばれます。この井字紋が出ていれば、土地・田畑に縁ある人の相であって、農業の人であれば特に吉相とします。また、この位置でなくても、ハッキリとした井字紋として出現していれば、不動産に強く、周囲から尊敬されて生きていく人の相となります。

f-3のように波木流で火星内部三角形とし、成功相の一つとして扱っている三角形を中国では「美禄紋(びろくもん)」と云います。精神的に充実している人の相とされ、世間の評価高く、経済的にも大いに恵まれるであろうことを記述しています。波木流で述べていた火星三角形に対する独特の見方が、このような形で古典的相書にも出現していることを嬉しく思います。

f-4のように手首付近から、直線的に上昇する西洋手相術で云う運命線を「天喜紋」或いは「立身紋」と云います。この紋で、さらに中指の中まで入り込む相を「玉桂紋(ぎょくけいもん)」と云います。立派な立身紋ある人は、徐々にその業績が認められて世間的な立場を確立していくものです。ただし、女性の場合、くっきりしすぎると、頑固で意地っ張りの相です。