時代をさかのぼると、多くの国で、出産される子供達のことを「子宝」として慈しみ、崇めた時代があった。このように書くと、現代は「そうではない」と書いているように受け止められるかもしれないが、もちろん現代でも「子宝」として“待ち望む”ケースは多い。けれども、我が国などでは“子宝”なのかどうか、微妙になって来ているケースも多い。もし“宝”なら、誰もが「ほしい」と思うはずなのだが、それを望まなくなってきている人の割合も増えて来ているからだ。また本人は“望んで得た児”であっても、後になって自ら“棄てる”とか、或いはその“子に手を焼いている”ケースも増えている。実際に産み育てていく過程で“宝物”になる場合と、普通に“家族”であり続ける場合と、“厄介者”に変わってしまう場合とが出て来る。西アフリカのマリに暮らすハリマ・シセさん(25歳)は、このほどモロッコの病院で5月4日“九つ子”を出産した。もちろん帝王切開で女児5人、男児4人を無事出産し、母子ともに健康であるという。当初は“七つ子”と観立てていたのだが、実際に産んだら“九つ子”だったというわけだ。まあ、胎内にある状態で、正確な数を言い当てるのは難しいかもしれない。それにしても“九つ子”というのは、すごい。と同時に、その“子育て”を想像するとなかなかにハードだ。多分、その方は「子宝を得たい」という想いで“妊娠促進剤”を使用したに違いない。だから“妊娠した”ことを悦ばなかったはずはないのだが、ただ“七つ子”だと知った時は、どんな想いだったことだろう。そして、実際に産んでみたら“九つ子”だった。もちろん、いまは出産したばかりで看護師さんたちが、子供たちを見てくれる。おそらく数か月間は“病院内”で生育するに違いない。問題は、自宅に戻ってからだ。「子宝」のはずだった“乳児9人”は、母親を思いやってなどくれない。生きていくのに必死なのだ。これは「神様」の“いたずら”だろうか。それとも、必死に「子宝」を願った母親への“贈り物”だろうか。「科学」への“みせしめ”だろうか。
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