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過去の占いコラム

素顔のひとり言(エッセイ集)


継承と進歩と独創と…


ここ数年、占いの世界では「復刻本」というのが静かなブームになっている。つまり、昔の名著を形を変えて出版する…ということで、それ専門の出版社もいくつか出て来ている。通常、著作権は50年間だから、それを過ぎた本に関しては、装丁さえ変えれば何処の出版社が出しても構わない。占いのような昔からの伝統的な技法は、その対象となりやすい。したがって、外見だけ変えて中身は実質的にコピー本となっている復刻本もあれば、全篇、現代人が読みやすいよう編集しなおしたり文字を組み替えてある復刻本もある。

例えば最近刊行された書籍で云うなら『真勢易占法秘訣』とか『卜筮正宗』とか『林文嶺相法伝書』とか『色情人相学』とか『画相で透視する方法』『キロ手相の書』とか『密教占星術大全』とか『子平推命基礎大全』とか『吉凶秘密四目録占』とか『七政四余』とか…数え上げればきりがない。

復刻本と云っても、昔のまま何も手を付けていない読みにくい本もあれば、現代的な編集によって解かりやすく読みやすい本に生まれ変わった本もある。このような本は、小説と違って時代背景というものが複雑に作用しているケースも多く、多少の<注記>や<解説>を付けないと理解しにくい内容も多い。例えば『キロ手相の書』は120年も前の本だが、訳者ゆきまるは日本の手相家だが原著を尊重したいという立場で、あまり注記や解説を記していない。けれども近年の日本の手相書を読み慣れている読者にとっては理解しにくいというか、説明不足的な読後感がどうしても残る。実占的な研究者であれば、四角・星・十字・三角等の記号は、掌の各部に通常では滅多に刻まれない印であることを知っているはずで、親切な訳者なら当然そのことを注記や解説で記しておかなければならない。それら記号が出現している場合でも、余程手相を観慣れていないと判別が難しいし、見間違えてしまう初心者が多いことも付け加えなければならない。さらにキロの解釈そのものも絶対的なものではなく、記号解釈の多くには疑問が残る。これはキロだけに言えることではないが、19世紀~20世紀初頭に発行された西洋の手相解釈には思い込みの記述が多い。同じようなことは中華系ホロスコープ判断の現代語訳である『七政四余』にもあって、この本自体は大変な労作で敬意を表するが、残念ながら書き方の順序、解説の仕方、翻訳(現代語訳)の並べ方等に問題があるため、初心者が本書から正確にホロスコープを作成し、判断することは至難の業であると思われる。元々「七政四余」という占術は“難解な占術”として知られているので、或る程度、予備知識を持っている方しか読破しようと思わないかもしれないが…。

これまで古書原書からしか学び得なかった原典としての占術・技法が、日本語訳されたり現代語訳されることによって、誰もが学びやすい専門書として市販化されるのは大変に喜ばしいが、現代の若い人達に生な形で提供しても中々受け入れられるとは思わない。古典原書としての貴重さと、現代日本の実用書・占術書とは別次元の問題であるよう私には思われる。やはり現代の書籍である以上、現代人に理解できるような内容でなければ価値がない。子平推命の翻訳書などにしばしば見られる“判り難さ”“矛盾の多さ”“理論偏重”は見直されるべきと私は思う。

もう一つ、占いは最終的には“技術・技法”であるから、そういう面での進歩や発展が必要なのだ。古典に学ぶことは大切で、特に失われてしまった技術・技法を現代に蘇らせることは急務だが、それと同時に、過去の技術・技法に頼りっきりになるのではなく、それを基にしての学・術の両面からの進歩と発展がなければならない。ただ単に伝統芸のように継承していけば良い…というものではない。なぜなら、占いはどの占いでも未完成だし、まだまだ改定すべき余地、研究すべき余地、発見すべき余地を残しているからだ。人類にとって、自分の未来を的確に予知・予測し、さらにそれを変更し、改善していく方法を編み出していくことこそ、我々に課せられている最大の課題でもある。それには多数の研究者が各方面から総合的にデータを出し合い、新たな理論や技術や発見を集約していく前向きな議論が必要なのだ。

古典原書の復刊は、そういう意味でも大いなる手助けと言えるが、より新しく人類に有益な理論や技術や発見を伴った新しい占術書の誕生こそ、本当は密かに誰もが待ち続けているように思えてならない。

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