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過去の占いコラム

素顔のひとり言(エッセイ集)


マカオと香港のホテルと風水


大昔に訪れている香港・マカオの変貌ぶりを見て来た。予備知識によって、特に香港よりも、ここ数年の間にマカオが大きく変貌しつつあることを知ってはいたが、実際に訪れてみるとその違いの著しさを実感させられる。

昔のマカオは、いわば香港観光の付け足しのようなものであった。その証拠に、マカオ観光だけを目的としたツアーなど存在しなかったような気がする。けれども今は明らかに違う。

マカオの旅行社の方が、香港の旅行社よりも潤っていて羽振りが良いのだ。ここ数年の間に相次いで大型ホテルやカジノが進出して正に「世界のギャンブラーたちが集まる街」へと変貌しつつあるからだ。その代表的存在が「ホテル・ベネチアン」だ。ここは昨年オープンしたばかりだが、総工費1兆円以上を掛けて建設したと云われるカジノ付きホテルだ。同様のホテルがアメリカのラスベガスにもあるが、その系列ホテルだ。ホテルに併設して300店舗以上のブランドショップもひしめく。

ブランドショップ店ばかりのファッションビルのどこが良いのか、私には皆目分からないが、香港でも同様なファッションビルは多く、日本の観光客は大のお得意様らしい。通常の観光目的で香港やマカオに行くと、それらブランドショップの多さに圧倒され、間違った観光地に迷い込んでしまったか…と、戸惑うほどだ。現地ガイドによると、香港は政府・公務関係者の収入が桁違いに高く、民間給与との差が歴然としていると云う。したがって、現地でそういうところに足を運ぶ人たちは限られているらしい。どこにでも金持ちもいれば、庶民の味方?もいるものなのだ。

ホテル・ベネチアン以外にも、マカオにはグランド・リスボアやウィン、クラウン・マカオなど、新しく奇抜なホテル&カジノが続々誕生している。ベネチアンはホテルの敷地内に空を描いた巨大な屋根を付けてベネチアの街を再現し、その中を走る運河や船まで取りそろえていると云う徹底ぶりだ。もちろん、その両サイドはブランドショップだ。ここは別に泊まらなくても、マカオ観光に組み込まれているので、ツアー参加者は1時間くらいは必ず立ち寄らなければならない。もちろん、ブランドショップなど見なくても良い。ただベネチアンの各所で行われるショーの見学や写真撮影にはもってこいの場所なので、そういう意味では見ておいて損はない。ここで写真を写すと、実際にベネチアで写真を写すよりきれいに撮れる。

それから、ツアーガイドが力説するのはブランドショップよりも、カジノの方だ。マカオのカジノ収入は昨年度世界一であった。ギャンブルで知られたラスベガスよりも、多くのお金がこの小さな国に入ってきている。だから、ガイドたちはカジノ遊びを丁寧に教える。その結果、昨年の税収は驚くほど多く、マカオの住民は1人残らず5万円ほどの還付金を受け取ったらしい。次々と怪しげな形の豪華ホテルが建って、文字通りギャンブル国家へと変貌していくのを国民が許すのは、そういうおこぼれがあるからだろう。

ベネチアンのカジノは、写真撮影が禁止なので撮ることはできないが、その広さやルーレット台やスロットマシンの多さには目を見張るものがある。私たちが行った時には閑散としていたので、大体こんなものなのだろうと思っていたが、帰ろうとする頃には続々とツアー客が詰めかけて来て、ほぼ満員と云うくらいに埋まってしまっていた。ただ、ここの欠点の一つは日本語が通じないことだ。これだけ広く多くのスタッフを抱えていて、日本からの観光客も必ず訪れるよう仕組まれているのに、日本語を話せるスタッフを置かないのはどういうわけだろう。日本人観光客は大金は使わないから必要ない、とでも云うことなのであろうか。

ちなみに、ここで大勝ちしたなら、必ず一度メンバーズカードを作ってからでないと、換金してくれないシステムになっている。つまりは勝った場合には、必ずまた来い、と云うサインのようなものだ。エジプトのホテル内にもカジノはあったが、あそこは入店の時点で既にメンバーズカードを作らされた。

カジノで勝つには、ただただ運それだけであるような気がする。よほど練習しなければ、ルーレットなどでも勝てないし、それ以外のギャンブルもお金の掛け方自体が良く分からない。私のように何でも理屈がきちんと解らないと本気で取り組めない者にとっては、日本のパチンコの方がとっつきやすい。

エジプトではルーレットにも挑戦したが、今回はスロット以外は手を出せなかった。エジプトの時に悲惨な思いを味わったせいかもしれない。何しろ、アラブの富豪みたいなのと一緒のテーブルになって、そいつら(その方達)ときたら、あらゆる場所に金を掛けるのだ。よっぽど金が余っているのか、ギャンブルのだいご味が分かっていないのか、とにかくしらみつぶしに金を掛ける。だから、当然何か所かが当たる。私のようにつつましく一ヶ所や二ヶ所で満足する、と云うことはできないらしい。それも向こうは大金を湯水のように掛けまくる。つつましくやっても、3分も経たない内にルーレット用チップが無くなってしまった私とは大違いだ。

けれども、そういう掛け方をしてもルーレットと云うのは上手く出来ていて、必ず最後は負けてしまう。そういう掛け方では長時間やっていくうち必ず負けるようにできているからだ。案の定、私たちがスロットマシンでちょぼちょぼと微妙な状態が続いていたとき、その富豪たちは憮然とした表情でカジノを出て行った。

マカオは香港と並んで風水国家でもある。ベネチアンにしてもそうだが、ホテル内に運河を作って船を行き来するのは、単に豪華趣味だけでなく風水的な意味合いも考えてのことに違いないのだ。昔の日本の豪華料亭などでもそうだったが、大きな池を作って鯉を飼うと云うのは金銭を呼び込む魔法でもあるのだ。但し、敷地が狭い庭にこれを作ると逆効果となる。

香港のホテルや建物にしてもそうだが、通常の四角い立方体の建物はほとんどない。高層建築が多い香港が、単に林立している機能的なだけの景観にならないのは、曲線や階段形を建物の設計に取り入れているからだ。中には中央部分がすっぽりと抜けているような形のマンションまである。私に言わせると、これはがらんどうの建物となって、凶相の一つだが、どうも奇形好みの香港風水師は解かっていないらしい。

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