「情報化社会」と言われて久しい。確かに20年前と比べて、あらゆるものが“情報”として“知識”として高速で世の中を飛び回っている。誰もが意図すれば、それらの“情報”や“知識”を手に入れられる。便利な世の中にはなった。けれども、そうやってあらゆるものが“見えてきたこと”で、われわれは“倖せ”に近づいたのか。いや、そうではない。いろいろと“見えてきた”ことで、むしろ“倖せ”は遠のいて行くよう感じる人の方が多いはずだ。われわれは“見える”ことで“倖せ”が近づくはずと勘違いしていたのだが、実際には逆で“見えすぎる”ことによる不幸の方が多くなっているような気がする。あらゆる情報を得られるということは、本当は“知らなくても良い”ことを知ることでもある。だから“倖せ”は遠のいて行くのだ。もう一つ、さまざまな情報を得ることで、つまり“見えすぎる”ことで、余計な“不安”や“焦り”が増幅される。「今後30年間以内に震度6以上になる可能性ある地域マップ」が公表されたが、それを知ったからといって“倖せ”に近づくだろうか。結局、あらゆる“情報”や“知識”が氾濫することで、精神的な“ゆとり”のようなものが失われていく。特に“周りの情報”はあふれているのに、自分自身の“未来”については、それらの情報が邪魔をして靄がかかり、どんどん“見えなく”なっていく。本来なら“見えていた”はずのものまでが、はるかな“闇の中”へと消えていってしまうのだ。そうして、目の前までもが見えなくなって“不安”や“焦り”だけが増幅されていく。「情報化社会」とは、そういう少しづつ“心が削られていく”時代なのである。
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