「人中」と云うのは、顔を真正面から見た時、鼻と口とを繋いでいる細い溝のことです。西洋式の人相術においては、ほとんど重要視されていませんが、中国や日本の東洋式人相術においては子供運や後継者運、さらには本人の生命力や出産の有無など、この部分を眉間に次ぐ急所として観相判断上の要としてきました。一見、見逃しやすい部位だけに見逃さず判断すべきです。

横シワの出る人中通常の人中に対して、それを阻むかのように横シワが出現するのは、男性に見ることはめったになく、女性には時折見かける相の一つです。この横ジワは、1本のこともあれば2本出ることもあります。笑った時だけハッキリと出現する人もいれば、笑わなくても見えている人もいます。笑わなくても出現している場合、自分の子供に早世される相の一つで、そのときの哀しみが頭から離れないでいることを示しています。2本出ていれば二人の子供を喪っています。笑った時だけ横ジワが出現するのは、未婚の場合、妊娠後の流産や死産、或いは堕胎を経験する人の相です。
中央筋が立つ相通常の人中を構成する2本の筋はそれほど明確でないのに、その中央に立つ筋だけがクッキリと目立つのは「養子相」の一つで、やがて養子や後継者を外部から迎え入れることになる人の相です。つまり、自分がお腹を痛めた子供ではない児を、自分が育てていく可能性が極めて強い相です。特に家業や血縁などの関係から、後継者としての子供を必要としている結婚の場合、この相が見受けられるのは養子を貰い育てていく可能性が強いことを物語っています。女性の場合、すでに先妻の子がいる家庭に嫁ぎ、その子たちを育て、やがて恩返しを受けるケースも見受けられます。
広く浅い人中人中の幅が広くて、その溝が浅くて窪みが乏しいと、あまりクッキリとした印象の人中とはなりません。ただ男女ともに度量が大きくてこせつかず、社交性豊かで幅広い交友関係にも恵まれているのが常です。また十代から幅広ければ、早熟な傾向を持っていて、男女とも性体験を早くから経験するようです。ただ、女性は相手が変わりやすく、一人の男性を守り続けていくようなケースは稀なものです。比較的早く結婚する傾向を持っているものですが、その結婚を待っていたかのようにすぐに妊娠・出産して母親となっていくことでしょう。間違いなく安産での出産です。
ぼやけた人中一見すると全く人中がないかのような印象を与える溝の浅いぼやけた人中の持ち主は、本人自身が生命力や根気に乏しく、子供を産み育てていくことに問題を生じやすい人の相です。運命的に「子孫運」や「後継者運」に乏しく、たとえ自ら子供を産んでも、極めて早い段階で、本人の元から子供を手放してしまうケースが多いのが特徴です。もっとも、女性でこの相の持ち主の多くは不妊体質です。さらに、本人自身、内部疾患には注意が必要で、しばしば若くして大病を患うとか、早世してしまうようなことも生じやすいようです。恋愛に対してもあまり積極的ではありません。
上部が狭い人中通常は上から下まで左右並行している人中が、時として上部が極端に狭く、下部が扇形に大きく広がっている人中を観ることがあります。これは俗に云う奥手であって、SEXに対しても結婚に対しても或る程度の年齢にならなければ経験・実現しない人の相です。したがって、妊娠・出産に関しても当然のことながら若い内から経験出来る形ではありません。この相の持ち主で結婚年齢が早い場合は、子宝をなかなか得られない人の相となります。また、本人の生命力も30代半ば以降に増大していく形で、若い内は、体力的にも無理が利かず病弱な傾向が見受けられます。
細く狭い人中誰が見てみ細く狭い印象を受ける人中は、真面目で神経質そうな人にしばしば見かける相です。実際、男女ともにこの細く狭い人中の持ち主は、他人を受け入れる心の領域が狭く、一定の人以外とは交際したがらない傾向が見受けられます。男女関係においてはこの傾向がさらに顕著で、恋人や配偶者以外と二人だけになることを恐れる傾向さえ持っているようです。女性の場合、妊娠・出産と云う点で支障が生じやすく、結婚後すぐに子供が生まれる形ではなく、仮にすぐ妊娠しても難産が予想され、予定日を過ぎても中々生まれてこないなどの現象が生じやすいようです。
短い人中人中には年齢的な差があって、若いときには比較的短く、年を経るにしたがって長くなっていく性質を持っていますが、それらを考慮しても明らかに短いと思える人中があります。このような短い人中は、上唇がやや捲れ気味の若い女性に多いものですが、俗説では「若くして亡くなる人の相」と云われています。けれども実際には、性的欲求の強い女性に多く、男性からSEXを懇願されると嫌と云えない人に多いようです。また、健康上では子宮前屈の女性にも多いものです。性格的には根気に乏しく、男女関係が長続きしにくく、後継者を得られにくい相でもあります。
形良い人中顔を正面から見て人中の溝がまっすぐに立っていて、比較的ハッキリとして形の良い人中の持ち主は、上唇のラインが明確な男女に多いものです。この相の持ち主は、結婚に対しても、出産に対しても、いい加減な態度を嫌い、きちんとした順序に従って結婚・出産を経験しようとする意識が強いようです。また社会的にも成功する可能性が高く、本人の生命力も強く、子孫運に恵まれ、良い子孫・後継者を残していくことが出来ることを表しています。女性の場合は子宮の発達も良く、優秀な男児を妊娠・出産して、立派に成長させていくことが出来ることを表しています。
長い人中通常の人中よりもはるかに長い人中は、女性に少なく中年以降の男性に時折見かける相と云えます。この人中の持ち主は、家系とか、血縁とか言うことに対して強く意識しやすい傾向を持ち、大変恵まれた家庭で幼少時代を過ごしているケースと、逆に不遇な幼少期を過ごしているケースとがあります。いずれにしても大変親孝行である一方、人一倍子煩悩でもあって、親子間の交流を大切にしながら生きていくことは間違いありません。墓参りが幸運を招く相です。女性の場合は膣口から子宮までの産道が長く、そのため出産までに時間の掛る傾向を示しているものです。
曲がった人中一見して人中が曲がって見えるのは、たいていの場合は歯並びなどに関係していることが多いものですが、明らかにそれが目立つ人は子供縁や後継者縁に問題が生じやすいものです。それに恋愛運でも、三角関係とか、二股とか、不倫関係とか、複雑な状況を抱えたうえでの男女関係となりやすいのが特徴です。また女性の場合は子宮後屈の相とも言われますが、必ずしも絶対ではありません。生まれて来る子供に関しては、何らかの持病を抱えているケースが多いようです。また、妊娠・出産に関しては、女児に偏ったり、男児に偏ったりしやすい傾向も見受けられます。