「法令」と云うのは、小鼻脇から口の両側に流れているシワのことを云います。洋の東西を問わず、或る程度の年齢になると誰にでも見受けられる代表的な「顔の紋理」と云えます。どちらかと云うと女性より男性に出現しやすいようですが、近年では女性でもクッキリとした法令が刻まれている人を見ることは少なくありません。「法令」とは元々「法律と命令」の意で、本人の意向に対し周りがどれだけ従ってくれるかを表したシワであると云える。一名「寿帯」とも呼ばれ、長命であるかどうかを知るポイントの一つとされています。

完全に口を囲む法令完全に口を取り囲む法令は、口の両脇を囲む通常の法令と、下唇の下に出る横シワとが、見ようによっては繋がっているように見える法令のことで、稀にしか見受けることはできません。性格的には、多少口やかましい部分があったり、気難しい面があったりする人の相です。また、家庭運が悪く、配偶者との間にトラブルが絶えないとか、生死別を繰り返すようなことになりやすいものです。さらに、この相には昔から水難、薬物問題、食中毒などに巻き込まれやすいところがあり、それらを予知しているケースもあるようです。持病が長期化しやすい特徴もあります。
口を囲む法令法令がくっきり刻まれている人に多いのが、口を囲むかのように長く出現する法令です。普段からそうなっている人は少なく、たいていは笑った時にくっきりと出ます。普段からそういう風に見えるのは、長命であるだけでなく、社会的にもそれなりの地位や立場にある人がほとんどです。この形の法令があまりに深ければ、仕事一筋で常に仕事のことが頭から離れず、心身ともリラックスできる時間が乏しいことを表しています。自分にも厳しいけれども、部下・後輩に対しても厳しいのが特徴です。また、この法令は立派な邸宅に暮らすこと暗示している相でもあります。
法令外廊線を持つ相通常の「法令」に当たる線があり、それとは別にもう一つ、頤下から法令線の外側に並行して出現する線を「法令外廓線」と呼びます。これは本来の業務以外に副業を持つ人の相ですが、それ以外にも「屋外生活を好む相」とか「来客を歓迎する相」とかの説もあります。どちらも間違いとは言えませんが、中には自分の職場内にこもりっきりの人物もいるため、必ずしも全員に妥当とは言えないよう思われます。この相に対して共通の意味合いとしては最初の「本業以外に副業を持つことになる人の相」であろうと考えています。旅行好きの人にもしばしば見受けられます。
左右とも途中から二分する法令珍しい法令の一つに、長い法令の途中から線(シワ)が二分している相を観ることがあります。この場合、左右とも分かれているのは大きく二分する法令であるのが特徴です。片方だけ小さく二分しているのは、この相として取りません。大きく二分しているのは、二つの仕事を兼業して生きていく人の相で、その二つともに成功して社会的な地位や名誉を得ていくのが特徴と云えます。また、同時に「二親に縁を持つ人の相」でもあって、生みの親とは別に、育ての親とか、長年に及ぶ親代わりの人物とかがいて、本人に対して強い影響を及ぼしていることを暗示している相です。
下頤に達する法令法令が極めて鮮明で、頤下付近まで達する相は、頤が比較的がっちりと広い顔立ちの人に見受けられます。この相の持ち主は、命ある限り働き続けていこうとする意欲的な人であることを表しています。長命で、すでにゆるぎない地位や名誉を得ているような人に多いようです。ただ何事も人任せに出来ない性質をもっていて、第一線から遠ざかることが出来なく、真の意味での後継者を得られない傾向が見受けられます。また家庭内においても自分自身にも家族にも厳しいため、穏やかな晩年を過ごすということにはならないようです。意志強く健康で長命な相でもあります。
口角にも出る法令ごく一般的な法令の他に、唇の両脇にも短くシワが出現して二重の法令のように見えるのは、女性に多く見受けられます。愛することに対しても、働くことに対しても、誠実でひたむきな傾向があり、多くの人から慕われる性質をもっています。リーダー的な資質もあって、部下・後輩に恵まれ、独立して成功する可能性が高い相の一つでもあります。ただし、初婚は長続きしないケースが多く、こと家庭運と云う点ではあまり恵まれていません。多くの場合は初婚・再婚するようですが、稀には独身のまま生涯を過ごす人もいます。頭脳も優秀で多才であることも特徴です。
片側が欠けている法令方の法令が深くハッキリとしているのに、もう一方の法令が判然としていない人を時折見かけます。完全にない場合もあれば、あるけれども極端に薄れている場合、弱々しく途切れている場合などがあります。いずれにしても、片側が欠けている法令は、その人の社会的立場や地位が不安定で長続きしにくい特徴が見受けられます。運命的な変化が激しく、仕事が大きく変わったり、トップの座から引き摺り降ろされたりします。部下・後輩の運も良いとは言えません。また、健康面では片足に支障が出やすい相で、半身不随になるなど、晩年は特に要注意と云えるでしょう。
ハの字形の法令笑った時でなくても、深くハッキリとした法令が目立つのは、女性には稀で、彫りの深い顔立ちの男性にしばしば見受けられます。この場合「八の字」の下の広がり方が重要で、大きく広がっている方が運勢としては勢いのある人の相となります。若いときから独立独歩で人生を築き上げてきたような人に多く、強い意志と強靭な体力・気力、それに何よりも強い足腰とを持っているものです。部下運や後継者運にも恵まれ、多くの人たちを率いていく後半生となっているのが常です。晩年はゆるぎない地位・名誉を得て、健康で長命な人生を全うしていくのに違いありません。
口角に入る法令図で示したように法令の先端が口角部分へと流れ込むように入っているのは、古来「法令口に入る相」と云って嫌われてきました。何故なら、古典的な相書では「餓死する人の相」とされていたからです。実際、そういう例もないではありません。ただ、必ずしも収入が途絶えて餓死するとは限らず、むしろ現代では胃がんなど消化器系の疾患から食べ物を受け付けなくなってしまうケースも目立ちます。その晩年期の家庭運は良いとは言えず、さびしい家庭生活を送ることになりやすい特徴が見受けられます。法令の支線が口に入るのは一時的に問題が発生しやすい相です。