世の中には“情感や情緒を必要とする文章”もあれば、逆に余計なものは排除した“合理的な文章”が望ましい場合もある。おもに上場企業がマスコミなどに発表する“決算情報”に基づく記事などは、必要なこと以外は排除してある記述が求められる。そういう文章は何も“決算情報”に限らず、データ的なものを取り込む専門誌などではしばしば求められる。われわれはどうしても“文章”というと、それなりの“情感や情緒”が盛り込まれたものであるかのような先入観を持っている。確かに“無味乾燥な文章”は読んでいてつまらない。最近は文学でもデティールだけを追ったような作品もあるが、そういう小説や物語を読んでも情緒移入することはできない。別に特別な感情表現などなくても、不思議に“心打つ作品”というのはある。それはどこかに書く人の“人間性”や“思い”のようなものが滲み出ているからである。つまり文章に“生命”が宿っているとき、人はその文章に“心が吸い寄せられていく”ように出来ているのだ。けれども、元々が“蓄積すべき情報”として必要な知識には、感情移入は邪魔者でしかない。そういう文章用に開発されたのが“決算情報を自動で文章化するAI(人工知能)”である。日経新聞が大学などと共同で開発したらしい。決算発表用の資料から必要なデータを取り込んで、日本語で一般の人が読みやすく、分かりやすい文章とする。今回は“企業決算用”だが、これを応用することで、データを取り込む様々な文章用へと転用ができる。実際、そのAIによる企業決算の新聞用記事を読んでみたが、何の違和感もない。通常の“経済面の記事”そのものに映る。こうやって徐々に“人間の領域”が侵されていく。そのうち“推理小説”なども、人間が書くよりロボットが書く方が“見事な推理”として展開されるようになっていくのだろうか。囲碁でも将棋でも、最近はAIの方が“強く”なりつつある。ロボットに跪き、人間の方が“しもべ”として働くようになる時代(?)、生きていなくて良かった。
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