何かが起きてしまってから、多くの人は「そういえば…」と、漠然とした“その予兆”めいたものを思い起こすことが多い。“予兆”というほどのものでなくても、なんとなく“その気配”として感じ取っている“妙な出来事”とか“気になる様子”として記憶や印象をとどめている場合も多い。つまり、特別の「霊感」などなくても、人は誰でも潜在意識下の中で無意識に「その気配=予兆」を捉え、本能的に“迫ってくるもの”を感じているのだが、その多くが“不意”に、何の“脈絡”もなく、時として“場違いな”雰囲気の中で出現するので、ほとんどの人は“それ”に気付きながらも、そのまま“見過ごす”とか、不意に生まれた“幻想”“幻覚”に過ぎないのだ、と自分に言い聞かせ、その「場」を通り過ぎ去ろうとする。しかも、この手の「気配=予兆」は“一瞬”であることも特徴で、最初は“継続化しない”ので、余計その部分には執着しないのが普通なのだ。多くの人は「自分には霊感などない」と思っているが、ここに記してきたような感覚は“誰にでもある”ことで、決して特別な人にだけ起こるような現象ではない。つまり、われわれは太古から「気配=予兆」を把握する機能を備えているのだが、同時に“それ”を忘れるよう仕組まれている“矛盾した機能”も備わっているのかもしれない。
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