普通「生まれ変わり」というのは、一度“死んで後に生じる現象”とされていますが、いったん“仮死状態”に陥って、そこから奇跡的に生還する場合も、見かけは変わらなくても事実上の「生まれ変わり」とみるのが妥当であると思われます。さらに生命そのものには変化がなくても、新たな国や地域で、新たな名前で、新たな職業となり、新たな容貌・衣裳を身に着け、意識的に「生まれ変わり」別人と化して生きていく場合も、当然「生まれ変わり」とみなされます。そして、この最後のケースが案外多いものです。しかも、最後のケースでは“一気に生まれ変わる”というより、何年かかけて“徐々に生まれ変わっていく”人の方が多いものです。例えば、昔、長い黒髪で知られた女流作家だった瀬戸内晴美は、仏門に入り、剃髪をし、瀬戸内寂聴と名を変え、寺院に暮らすことで「生まれ変わり」を図りました。結局、“生まれ変わらない”ことを知った寂聴は、作家としての活動を本格化させ、大衆に対しての“講演”を“法話”に変え、俗人としての食事内容に変え、秘書を雇い、90歳を過ぎても旺盛な執筆活動を行っています。この人は、実際には「生まれ変わり」に失敗したのですが、途中から開き直り「生まれ変わっても何も変わらない」ことを大衆に伝えようと「現世を精いっぱい愉しみなさい」という法話に変えていったのです。
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