よく「生まれ変わったら何になりたいか」という問いかけをする。普通の人達は深く考えず“この次は金持ちが良い”とか“今度は女に産まれたい”とか“やっぱ美人が最高でしょ”とか勝手なことを言う。ところがである。「ダライ・ラマ14世」は、そうはいかない。何しろ、これまで700年間にわたって“転生”を続けてきているのだ。つまり、死んでも同じ“ダライ・ラマ”として生まれ変わらなければいけない。そういう形で“生まれ変わって来た”と信じられているのが、現在のチベット密教の最高指導者ダライ・ラマ14世なのだ。“変化の無い生まれ変わり”なので、同じ人にならなければいけない。どうやら、今回のダライ・ラマ氏は、それが辛いらしい。つまり、もう“同じ形で生まれ変わる”のは、嫌だ、と言っているように聴こえる。自分の“生まれ変わり”を見つける形ではなく、新たな方法により“後継者を定める”ことを提案し、年内にもその協議を開始することが報道された。まあ、ハッキリ言うと「自分を捜さないでください」宣言である。実際、その“生まれ変わり”の捜索は相当に難しい。まず、認定する僧というのがいて、その人を中心に“さまざまな前兆”を頼りに捜索を開始する。現在の14世の場合、元々は農家の9番目の子である。けれども、13世の遺品を前にして、3歳なのに「それ、ボクのだ」と見事に言い当てたという。こうして最終的に「転生」と判断された。そして4歳から王宮で暮らし、正式な「14世」を継承した。その生涯は決して平たんなものではなく「亡命者」として今日まで過ごしている。客観的に見れば、王宮を追われた王であり、自国を失った僧である。世界の尊敬を集めてはいても、実際には“辛い立場”なのだ。こうして14世は、自分が生きている間に早く次の後継者を定めて、自分は“転生”などせず、のんびり来世を過ごしたい、と望んでいるかのようである。この気持ち、ちょっと解かるような気もするし、ちょっと“ずるい”ような気もするのだが、誰も、そういうことには触れない。
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