「春が来た!」と思っていたら、またしても冬、窓から見える“雪化粧”にため息をつく朝がある。季節は“後戻り”が好きだ。まるで小悪魔的な少女のように、黒髪をなびかせて通り過ぎていく。冬のコートなのか、春のコートなのか、上着だけで良いのか、毎朝出勤する人達ならば洋服選びに苦慮する時期に違いない。もう何十年も会社勤めをしていない私は、時計と睨めっこしながら朝の用意をするという時代を、今は懐かしく思い出す。人の「運勢」も「季節」と同じような動き方をする。推命学など、元々「干支暦」という“暦”を用いて占うのだから“当たり前”かもしれないが、完全に「今日からもう幸運期ですよ」と明確に教えてはくれないのだ。「干・支」の上では明確でも、実際の生活上ではそれほど単純ではない。なんとなく“不運”から抜け出し“幸運”が来たかに思えながら、またまた“厄介な問題”が起きてきて行く手を遮る。運勢上の“大きな流れ”はなんとなく把握できるものの、小さな“紆余曲折”まで見通すことは中々に難しい。「運命の女神」も小悪魔的な少女のように、行きつ戻りつしながら、季節のように未来へと導くのだ。
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