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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


「あちら」にいる寂聴氏は、どう評価するか⁉


このような映画の報道を知るまで、私は作家の故・井上光晴氏の長女が小説家になっていることを知らなかった。それに、もっと驚いたのは井上光晴氏が瀬戸内寂聴氏と男女の関係にあって、それを井上氏の長女である井上荒野氏が、小説として『あちらにいる鬼』として発表し、しかも、その作品の推薦文を作中人物として出て来る瀬戸内氏が“帯”に書いていた。いろいろな意味で、私はすべて知らなかったし、驚くことばかりであった。そして、その小説が今度は映画化となって、それに主演する寂聴氏役の寺島しのぶ氏が作品の中で仏門に入るシーンでは、実際に完全剃髪をしていた。いろいろな意味で大変に興味深い映画作品が11月公開予定であるらしい。井上光晴氏役は豊川悦司氏が演じ、その妻役は広末涼子氏が演じるという豪華な布陣なのだ。それにしても役者魂を発揮する寺島しのぶ氏は、なんの躊躇もなく髪を剃り落としたらしい。瀬戸内寂聴氏というのが、波乱に富んだ人生を歩まれたのは知っている。私は若い頃、彼女の全集を購入しているので、その作品の多くも読んでいる。けれども、作家の井上光晴氏と恋愛関係にあったことは知らなかった。もしかしたら、彼女の小説の中に出て来る純文学作家というのが、井上氏だったのか。それすらも私は知らなかった。私はてっきり、もっと名の知れていない純文学作家だと思っていた。しかも井上氏の長女が小説家になっていて、それも各賞をいくつも受賞している本格的な作家で、その作品の一つに“自分の父親”と“母親”と“瀬戸内氏”と、三人を登場させ、その“愛の顛末”を小説として描くという離れ業を行い、しかも“その作品”を作中に出て来る瀬戸内氏ご自身が“絶賛する”というわけのわからない状態であったとは……。昨年11月、瀬戸内寂聴氏は波乱の人生を終えられたが、原作者として井上荒野氏は“映画となった寂聴氏”を見てもらいたかったのではないだろうか。おそらく寂聴氏のことであるから「この映画は素晴らしいですよ、特に私が…じゃなかった寺島しのぶさんが剃髪されるでしょ…あれはなかなか出来るもんじゃない、覚悟がいりますよ、ちょっと顔立ちも私に似ているし素晴らしい女優さんじゃないですか」などと言いそうな気がする。
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