顔面における五官三部の八卦配当

【顔面上の五官】
人相上で云う五官は、一般的に云う「五官」とは異なり、顔面上の「眉」「目」「鼻」「口」「耳」の分解された「五つの形ある部位」を指して用います。これらの形状やバランスが、顔面の印象や美醜に大きく関わっていることは間違いありません。ちょうど正月の遊びで用いる「福笑い」の時の各部位のように、或いはモンタージュ写真の合成された各部位のように、顔面上のどこにどのような五官を配置するかによって、機械的なロボットではない人間の個性的な「顔」が誕生してくるのです。

【顔面上の三部】
人相上で云う三部は、すでに述べた「顔面の横区分」とは異なり、顔面を構成する外観(輪郭)部分を、「額部」「頬部」「頤部」の三つに分解いたします。このように分解すると、顔面の外観(輪郭)部分が、これら額や頬や頤それぞれのパーツを上手に組み合わせて成立している作品であることに気付きます。
つまり、ここで云う「額部」「頬部」「頤部」は、決して顔面上をただ単に切り分けた横区分としての「天停」「人停」「地停」と同じではないことを理解してほしいのです。

【顔面上の八卦配当】
五官・三部が出そろったところで、これら八つのパーツに、易の八卦を当てはめていきます。古代中国で誕生した易の八卦は、陰陽・五行と並んで中国・韓国・日本など、東洋系占術のルーツです。世の中のあらゆる現象を、八つの自然界の現象「天」「沢」「火」「雷」「風」「水」「山」「地」に当てはめて解釈しているのが易の八卦です。
奇妙と云えば奇妙なのですが、顔面上の五官・三部の八つのパーツは、易で用いる八卦の象意解釈と重なり合う部分があまりにも多いのです。そこで図解したように、八卦を顔面上の五官三部に当てはめることで、人相判断に用いようと云うのが「五官三部の八卦配当」なのです。実は、江戸時代の著名な観相家であった山口千枝や、大正時代の目黒玄龍子や、昭和の中村文聡などが、これを試みているのですが、いずれも完全には当てはめ切れずにいたものです。

「額部」 「天」(最も上に位置していて、天の象意である神仏の意味もある)
「頬部」 「雷」(雷の象意である「怒り」を表す拳骨(げんこつ)に似た形象をしている)
「頤部」 「地」(最も下に位置していて、地の象意である居住地の意味もある)
「眉」 「風」(風の象意である「見えない動き」を表す、血液・神経の集積としての眉)
「目」 「火」(火の象意である「タイマツ」と同じように、モノを観察する働きを持つ目)
「鼻」 「山」(山の象意である「高い・頂き」と同じく、顔面上で高くそびえている鼻)
「耳」 「水」(水の象意である「穴に向かう性質」と同じで、構造的にも穴を持つ耳)
「口」 「沢」(沢の象意である、「モノが集まる性質」と同じで、食物を運び入れる口)

このように当てはめていくのが、両方の性質から云って、最も自然であると思われます。
易の八卦は、陰陽・五行とも結びついています。
そこで五官は、八卦に当てはまると同時に、五行にも当てはまるものです。

「眉」 「風」 「木」(眉は樹木のように根を持ち、草のように密生します)
「目」 「火」 「火」(易と同一です)
「鼻」 「山」 「土」(鼻は気学九星盤の「五黄土星」のように、顔面の中央にあります)
「耳」 「水」 「水」(易と同一です)
「口」 「沢」 「金」(口の中には金物包丁と同じ役割を持つ「歯」が存在しています)

【気血色の八卦配当】
実際の鑑定では、八卦配当を試みた顔面上の各部位に対して、どのような気血色が出現しているかによって、種々の判断やアドバイスを行います。気血色と云うのは、簡単に云えば個々の部位に現れる「部分色」だと理解してください。大体、次のような気血色が出現しやすいものです。

「赤色」 真っ赤に近い赤色と、朱色に近い赤色とがあります 「離(り)」色
「蒙色(もうしょく)」 灰色に近く曇ったような印象の色 「巽(そん)」色
「青色」 薄い青白色と、薄紫に近い印象の色とがあります 「辰(しん)」色
「暗色(あんしょく)」 汚い印象で青黒く感じられるような色 「坎(かん)」色
「黄色」 淡く輝く黄金色と、やや汚い枯葉色とがあります 「坤(こん)」色
「白色」 銀色に近い美しい白色と、白骨色とがあります 「乾(けん)」色
「桜色」 淡い透明感のある桜色と、明るい桜色とがあります 「兌(だ)」色
「銅色」 土色に近い銅色と、赤色が混じった銅色とがあります 「艮(ごん)」色

五官・三部の各部位に対して、これらの気血色が出現した場合、五官・三部の方の「八卦」を「内卦」(下の八卦)とし、気血色の「八卦」を「外卦」(上の八卦)とし、上下を合わせて「64卦中の一つ」を表出させて判断していく高度な占断秘法です。