顔面上の横区分と縦区分

人相観察の第一歩は、顔面上に仮想線を引くことから始まります。
 
【顔面の横区分】では、額生え際から眉までの範囲を「天停」とし、眉下から鼻先までの範囲を「人停」とし、鼻下位置から頤先までの範囲を「下停」とし、天・人・地の三停(さんてい)とします。これは古典的な中国観相術にならった分類方法です。古典的な観相術ではここまでなのですが、波木流人相術では、これらをさらに三分割していきます。額生え際を「天停天位」、額の横中央一帯を「天停人位」、額下部の眉骨部分を「天停地位」と云う風に三分割します。これは同じ天停の範囲内であっても、天位と人位と地位とではその役割(意味合い)が異なるからで、「人停」や「地停」においても、「天位」「人位」「地位」に三分割します。

元々、古典観相術において、天・人・地の三停に分けたのは、「天(上・空)」に関係していると思われる「神仏」や「先祖」や「目上」や「官庁」や「天災」や「名誉」や「遺産」や「恩恵」などの事柄が天停部分に示され、「(本)人(事)」に関係していると思われる「対人」や「自我」や「世間」や「恋愛」や「親戚」や「健康」や「競技」などの事柄が人停部分に示され、「地(所・下)」に関係していると思われる「住居」や「子孫」や「家庭」や「河海」や「ペット」や「近隣」や「部下」や「下肢」などの事柄が地停部分に示されるからです。

さらに、それぞれの三停の中でも「上」「中」「下」で明らかに役割(意味合い)が異なり、たとえば「天停人位」では、同じ「目上」であっても「職場の上司」とか「父親・母親」とか「叔父・叔母」とかであって、「神仏」や「先祖」や「祖父・祖母」は「天位」の方に示され、「職場の先輩」や「兄・姉」や「甥・姪」は「地位」の方に示されるからです。従って「人停人位」には「本人の人事」つまり「自我」の強弱が示され、鼻柱中央やや上部の骨が突き出ている人は自我強く戦闘的です。同じ横一帯「人停人位」に属する耳の内郭が外輪よりも外部に飛び出ている場合も、勝ち気で自己主張の強い性質となります。この横一帯には「頬骨」も属していて、頬骨の中央がやや上部に寄って目立つほど突き出ていれば頑固一徹で喧嘩っ早く、何事も強引過ぎて世間・周囲と衝突しやすいものです。つまり「人停人位」には「鼻の骨」や「耳の骨」や「頬の骨」が属し、それぞれが自我を前面に出してくる部位なのです。
 
【顔面の縦区分】では、平均的な眉間の幅をそのまま縦に引き伸ばした仮想線の内側領域を「中央面」と呼びます。当然、この中央面の中心を走るのは顔面を左右に分ける線となりますが、この中心線は、古典観相術でも着目されていて「正中線」と呼ばれていました。厳密にいえば眉間幅の中央面も、正中線によって二分されるわけですが、実占上では左右に分けることなく観察するので、一体化した領域として記述しておきます。顔面を横から見た場合、当然のことですが「中央面」がもっとも高い位置を占めます。

その「中央面」の左右に位置するのが「左正面」と「右正面」の縦領域です。この正面部位の外側ラインの基準位置は平均的な両目尻の処とします。そして、この仮想線からさらに外側領域が「左側面」と「右側面」になります。この側面領域は、顔面が立体化していれば真正面から見た場合、明確には観察できない領域に当たっています。その代わり、横顔として捉えた場合は十分に観察できる特徴を備えています。

つまり、顔面における縦区分では、「中央面」は真正面からでも真横からでも観察対象とすべき部位を備えており、左・右「正面」は真正面からの観察が重要な部位を備えており、左・右「側面」は真横(或いは斜め位置)から観察対象とすべき部位を備えている、と区分して捉えることが出来るのです。

そして、その違いは、真正面からの観察を必要とする領域は「社会生活・履歴生活」と密接に関係し、謂わば「表向きの顔」であり、真横からの観察を必要とする領域は「私生活・精神生活」と密接に関係し、謂わば「プライベートで見せる顔」であり、その両方の観察を必要とする領域は「運命・生涯」を左右する人生の歯車的な役割と関係している、と云えるのです。