人は誰でも「見えない壁」に行く手を阻まれて“苦しみもがく”一時期がある。どんなに努力しても、頑張っても「見えない壁」に押し戻されて、そこから脱出できない“苦渋の時”がある。人が「運命」というものを本気で感じるのはそういう時だ。そう「運命」を“本当の意味”で理解するのは、決して幸運な時や順調な時ではない。そういう時には「幸運」だとは思うのだが、それを“運命のなせる業”だとは思わない。けれども不幸が続くとか、予期せぬ失敗が続くとか、アクシデントに巻き込まれるとかした場合、人は嫌でも「運命」の存在性を意識させられる。先人たちの多くが口にした「運命」とは、こういうことだったのか、と理解する。人類が太刀打ちできない「運命」の激流に“飲み込まれてしまった自分”を、嫌でも自覚するのだ。そして、そういう状態が続くと、人は「神」を観る。神の幻影を見る。少なくとも“それらしき存在”を探す。「神の手」が観える。それに触れる。その途端、幻影は見事に消える。次々と「手」は現れ、次々と消えていく。もはや「神の手」などないのか、とあきらめかけた時“皺だらけの手”が伸びる。ごく普通の身近な人物の手。引き上げる「力」などなさそうな手。それでも、もう疲れた人物は“それ”にしがみつく。意外なほどの「力」が“生きる勇気”を与えてくれる。そうして、徐々に“引き上げられていく”のを感じて意識が遠のいていく。
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オーストリアを代表する画家の一人グスタフ・クリムトの「リーザ―嬢の肖像」がオークションにかけられ、約50億円で落札された。この作品は100年間の間“行方不明”となっていた作品で、死 続きを読む
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