人に“寿命”があることは誰でも知っているが、企業に“寿命”があることはあまり知られていない。よく何百年も続いている企業や商店が紹介されるが、本当に途切れることなく続いた企業や商店は稀であって、その多くは途中で企業名が変わり、一時期は閉鎖していたが復活させたとか、別の業態に変わりながら生き延びたとか、血縁のない人物が社長を受け継いだとか、本当に“生まれたままの姿かたちを保って”何代も続いて何百年も生き延びた企業というのは稀にしかない。山形県に「大沼」という百貨店があった。多分、その地域では知らぬ人の無い百貨店であったに違いない。それが、今年に入って自己破産をした。そこで働く従業員は190人余りとのことで、その後の受け皿がないとか、退職金が出ないとかいうことで騒がれている。近年、日本の地方都市では高度成長期に産まれた百貨店が次々と閉鎖に追い込まれている。こういう時、必ず騒ぎ立てる人がいるが、時代の趨勢というものは古今東西の歴史が証明するもので、いかんともしがたい。人間に“生命力”があるように、企業にも“生命力”がある。勢いのある時にはどんどん成長していくが、生命力が衰えていくと、その企業にもほころびが目立つようになる。例えば「大沼」百貨店の場合、1950年に誕生している。そして1956年には関連した「丸久」が開店、1967年には「大沼酒田店」が開店、1970年には「大沼米沢店」が開店、1971年には関連の「十字屋山形店」が開店、ここまでが“勢いのある時代”だった。人間に例えると十代から二十代にかけてどんどん発展したわけだ。けれども、やがて衰退の時期が訪れる。1984年「大沼酒田店」閉店、2000年「山形ビブレ」閉店、「山形松坂屋」閉店、これらの店は途中で店名を変えている。2018年「十字屋山形店」閉店、2019年「大沼米沢店」閉店、そして今年に入っての自己破産申請だった。こうしてみてみると、人間と同じように齢を取って時代の趨勢に逆らえず、無くなってしまうのは仕方がないことだ。誰が悪いわけでもない。但し、山形のような地方都市は日本中にある。そういうところで「大沼」予備軍が、わんさかいることを忘れてはならない。
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